9月19日の朝9時、上青木小学校の体育館には、同校の4年生が全クラス集まりました。まず校長先生の挨拶があり、その後、小宮さんの特別授業が始まりました。それでは、その授業の様子を見てみましょう。
「自分は大丈夫」と思っていても、みんな必ずだまされる!
小宮 地域安全マップを作る前に、まずみんなで犯罪について考えてみましょう。犯罪って、どんなイメージ?
子ども達 「誘拐!」「殺人!」「監禁!」
小宮 監禁なんて言葉、よく知っているね。そういえば監禁事件、この前もあったね。ほかに、もっと身近な犯罪もあるよ。例えば「痴漢」や「ストーカー」だね。どの犯罪も、危ない目に遭いそうなイメージだよね。では、危ない目に遭わないためには、どうすればいいと思う?
子ども達 「怪しい人についていかないこと」
小宮 では、「怪しい人」ってどんな人だと思う? マスクを着けてサングラスをしている人? そんな人は、いませんよね(笑)。では、どんな人?
子ども達 「一見、優しそうな人」「物で釣る人」
小宮 いろいろ出てきたね。でも、「優しそうな人」と「優しい人」って、見分けがつく? つかないよね。となると、誰が危ない人なのか、よく分からないってことになるよね。
みんなは、自分だけはだまされないって思っているでしょう。危ない人は、すぐに気づくって思っているでしょう。でも、僕はここで宣言します。皆さんは、危ない人に100%だまされます。あめなんてもらわないよって思っていても、もらってついていってしまうんです。
防犯教室の講師は、立正大学の小宮信夫教授。ケンブリッジ大学犯罪学研究科で学び、専門は犯罪社会学
人通りが多く明るい場所で犯罪は起きる
小宮 誰が怪しい人なのか、よく分からない。でも、みんな危ない目に遭いたくないよね。では、どうすれば安全だと思う?
子ども達 「危ない人に会わなければいい!」「危ない所に行かなければいい!」
小宮 なるほどね。では、どういうところが危ないと思う?
子ども達 「人通りが少ない所」「暗い所」
小宮 よくそう言うけど、本当はそうではないんだよ。人通りが少ない所は、実は安全なんだよ。だって、南極や砂漠に危ない人、いないでしょ?
子ども達 (笑)
小宮 暗い所も、実は危なくないんです。犯人だって、みんなと同じ。やっぱり、明るい所が好きなんだよ。暗い所は、犯人だって嫌なんです。
では、どういう所が危ないんだろう。実際にどんな所で犯罪が起きているのか、ちょっと考えてみて。
子ども達 「公園」「駅前」「団地」
小宮 そうだね。駅前や公園、団地、学校の周辺なんかで、よく犯罪が起きています。でもこれらは、人通りが少ない場所ではないよね。人通りが多いのに、どうやって誘拐したりするのかな?
子ども達 「人混みに紛れ込む」「電車で目を付けて、後をつけていく」
小宮 そうそう。だから、犯人は人が多い所のほうが好きなんです。そういう場所で、どういう子どもがいるのかを探って、よさそうな子どもが見つかったら、後をつけていくんです。もしかすると、その子どもは途中で誰かに会って、一緒に帰ったりするかもしれないよね。そのとき、犯人はどうすると思う? 犯人は、その子を諦めて、次の子を探すんです。どうしてもその子でなければいけないわけじゃない。だまされる子が見つかるまで、何度でも繰り返せばいいんです。
危ない場所の目印はたった2つ
小宮 では、どうやって犯人が子どもを探している危ない所を見つければいいんでしょうか? 今日は、危ない場所を見分ける目印を教えてあげます。目印は、たった2つだけです。
小宮 危ない場所を見分ける目印は、次の2つです。
・入りやすい場所
・見えにくい場所
これが、危ない場所の目印になります。では、どういう場所が危ないのか、みんなで一緒に考えてみましょう。これからクイズを出します。ヒントは、さっき言った2つです。よく考えてね。