子どもにアウェーで勝負するつらさを教えたいと思い、家族でシンガポールへ
阪部哲也さん(以下、阪部) 日本の教育制度にとらわれず、子どもにグローバルな世界でも通用する教育を受けさせたい、と考えるパパ&ママが増えているように感じます。小野さんのように、グローバルビジネスの第一線で活躍されている方が「わが子の教育」にどんなふうにコミットされるのか、後輩パパとして大変興味があります。
マニュライフ生命保険・不動産部長の小野秀俊さん
小野秀俊さん(以下、小野) 正直にお話ししますと、私はあまりいいパパではありません。私の妻は恐らく私のことを「もう一人の大きな子ども」だと思っているでしょう(笑)。
阪部 でも、シンガポール駐在が決まったときに、家族そろっての赴任を即決されましたよね。お子さんの教育の連続性を考えたらパパだけ単身赴任という選択もあったのでは、と思うんですが。
小野 「家族そろって海外で暮らしたい」という思いは私の心の中にずいぶん昔からありました。もっと子どもが小さいうちにかなえることができたらよかったのですが、シンガポールで暮らし始めたのは遡ること今から3年前。教育の一貫性を問われれば、確かに日本とシンガポールの間で学習カリキュラムの変更が生じます。息子にとってはチャレンジですよね。
それでも息子には快適過ぎない環境であえて苦労をする体験をさせたかったし、「自分が“外人”になる」ということがどういうことなのかを味わってもらいたかった。人生においてアウェーで勝負する経験というのは、とても貴重だと思います。私がシンガポールの仕事に巡り合えたタイミングは、家族で海外に行くラストチャンスだったので、本当にラッキーでした。と同時に、人生の中で本当にやりたいことをずっと願っていると、神様はそういう機会をくださるのだ、とも思いました。
その一人息子は2014年に18歳になり、シンガポールの高校を卒業して、同年の夏からアメリカのテキサスにある大学の航空宇宙工学部に進学しました。