認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさんが選んだ2冊
これぞ子ども向けの絵本!という感じではないのですが、一人がこの絵本を持ってきて読み始めると、いつの間にか他の子も周りに集まってきて、みんなで読んでいます。そこに小学生がいれば、途中からその子が読み手になってくれて、保育士抜きの子ども同士で最後まで読むことができるほどです。
何度も何度も読んだことがあるし、DVDを見た子もいたりして、どんな物語なのかはみんな知っています。それでもまた読みたがるのは、小学生ならお姉さんのサツキちゃんに、小さい子ども達は妹のメイちゃんに自分を重ね合わせ、登場人物の気持ちを味わっているからだと思います。
引っ越してきた村の家で好奇心の強いメイちゃんが走り回るシーンは、突拍子もないメイちゃんの行動が好きなのか、子ども達は必ずここを読んでと言いますね。
また、トトロがあくびをするシーンでは、あくびのまねをしているのか、お話を聞いているみんなの口が開いてとてもかわいらしいです。
あっとほーむで読み聞かせをする小栗さん。『となりのトトロ』は子どもだけでなく大人も一緒になって楽しめる
物語がとてもよくできているので、絵本にしては分厚いほうですが、長過ぎず、しつこくなく、読んでいる側もワクワクしながら読み進められます。
絵本は大人が教えたいものを与えるのではなく、あくまでも子ども主体の自然体が一番。絵本ってどうも苦手……というお母さんも楽しめる一冊だと思います。
子ども達はこの絵本が大好きで、よく読みたがります。
おばけをてんぷらにするというのは、大人にない、子ども視点の発想ですね。
うさぎさんがメガネを揚げてしまうシーンでは、子ども達から「それはダメだよ~」や「メガネだよ~」という声が上がります。しっかりしていそうなうさぎさんがおバカなことをしてしまうあたりが、子ども達に受けるポイントのようです。
メガネを揚げてしまった後も、うさぎさんは落ち込むわけでもなく、自分を責めるわけでもなく、あはは~♪ という感じで終わるのがいいみたいですね。
物語に悪者が出てくる勧善懲悪の話ではないし、情緒教育の観点からお勧めというわけではありません。子どもに何かを教え込むような物語は退屈だし、私自身あまり好きではなく、絵本は子どもと一緒にシンプルに楽しみたいと思っています。
そういう意味で、新しい発見はないけれど、子ども達と一緒に「ああ楽しかったね」となれる一冊です。