子どもの心を持ち、子どもと同じように考えることができた
アストリッド・リンドグレーンさんの実の孫、ウッレ・ニーマンさん
日経DUAL編集部 ニーマンさんはアストリッド・リンドグレーンさんのお孫さんなんですね。
ニーマンさん(以下、敬称略) アストリッドは私の母方の祖母となります。私の子ども時代は彼女との思い出に溢れています。
―― リンドグレーンさんは、ニーマンさんにとってどんなおばあちゃんだったのですか?
ニーマン そうですね、とにかくいつも優しくて、ユーモアがあって、元気に満ち溢れていましたね。私には姉が1人と兄が2人、そして3人のいとこがいるのですが、アストリッドは私達と長い時間を共に過ごすことを心の底から楽しんでいたようです。彼女は本当に子どもの心を開かせるのが得意だった。たぶん、彼女の中には「子どもの心」があったのだと思います。70歳になってもなお、子どもと同じように考えることができたのでしょう。
ちなみに、私の母であるカーリンは、アストリッドが『長くつ下のピッピ』を書く大きなきっかけをつくった人物です。母が病気のために学校を休んでいたとき、アストリッドに「長くつ下のピッピという女の子が主人公の話をして」とお願いしたんです。「長くつ下のピッピ」というのは母が創り出した名前でした。そして祖母が母のために物語を話し始めたというわけです。カーリンの誕生日、アストリッドはその物語を本にまとめ、一冊を母に贈り、一冊を出版社に送った。それが今日、多くの読者に愛される本の誕生につながる瞬間となりました。
世界25カ国以上で翻訳出版されている『長くつ下のピッピ』
祖母は想像力に満ち溢れていたので、彼女にとっては物語を紡ぎ出すのはいとも簡単なことのようでした。『長くつ下のピッピ』の前にも児童文学を書いていて、出版社からの表彰を受けたりもしていました。恐らく、祖母は何度も母のために物語を作っていたのではないかと思います。
私の母は今、80歳になりましたが、とっても元気に幸せに暮らしています。彼女もまた自らの孫、つまり私達の子どもにとって素晴らしいおばあちゃんとなってくれています。