あえて子どもに寄り添わない「キッズデー」
近ごろ、一流のレストランでもキッズデーを開催するところが増えている。キッズデーとは、普段は連れていけないようなレストランが小さい子ども達にも扉を開く、家族連れにとっての特別な日。キッズデーという名称からも分かるように、この日だけは特別に子ども用のメニューを用意したり、授乳やおむつ替えのスペースを設けたりと、子どもへのサービスやケアも重視する店が少なくない。
ところが、東京・港区白金にある「ラシェリール」では、趣が少々異なる。
静かな住宅街にしっとり溶け込むように佇むフレンチレストラン。全面ガラス張りの窓からは自然光がたっぷりと降り注ぎ、白で統一されたインテリアがいっそう明るく開放的な雰囲気を漂わせている。
「レストランとはもともと大人の社交場です。フランスなどヨーロッパでは特にその意識が強い。お子さん連れでいらしていただく日も、私どもはあえてお子さんを主役に立てたサービスを用意していません。それよりも、食文化としてレストランにおけるマナーや振る舞い方をきちんと伝えていくことが大切だと考えています」
そう話すのは、本場フランスの数々の名店で腕を磨いてきた大本章功シェフだ。ラシェリールでは子どもも大人同様、料理と空間を味わいに訪れた一人の客として扱われる。
白を基調とし、すっきりとまとめられたシャープな空間。ランチタイムは光がたっぷり入る