就任後、最初に取り組んだのは治安、学力の「ワースト」からの脱却
近藤弥生・足立区長
DUAL編集部 そもそも区長になったきっかけを教えてください。地域を変えたいという思いがあったのでしょうか?
近藤区長(以下、敬称略) 都議会議員の最大与党、自民党に在籍していましたので、望んでいる政策はある程度までは実現できていたと思いますが、東京都は「現場」を持っていません。区民とじかに関われる「地元」という場所で現状を変えていくことに可能性を感じました。
私が区長になって最初に取り組んだのは、治安の改善です。足立区は「治安が悪い、悪い」と言われ続けてきて、区民からも「マイナスイメージを何とかしたい」という要望が挙がっていたのです。
足立区は成人式を、新成人による実行委員会方式にしています。その現場で新成人と話すと、必ずそうした要望が聞こえてきます。高校を卒業して大学に入ると、他の地域の友達ができます。足立区の出身だと言うと「そんな危ない所に住んでいるの?」とびっくりされる。最初は冗談だと思っていても、相手が本当にそう思っているのだと知り、二重にショックを受けると。「これでは恥ずかしい。このままでは地元を誇れなくなってしまう」という声がとても多かったのです。
そこで区として警視庁と連携し、足立区内の犯罪件数を減らす取り組みを進めてきました。積極的に「犯罪を無くす」「町を美化する」といった呼びかけをすることで、区民の意識も変わってきました。
8年経った今、成果も出てきました。犯罪件数の都内ワーストは返上しましたし、街中のゴミをゼロにするキャンペーンにしても、SNSで情報発信すると、気軽に参加してくれる区民が現れるようになりました。担当職員は「区民の意識も変わっていますね」と実感しているようです。