音楽を強制してはいけない

──子どもに音楽教育を受けさせるときに、親が注意すべき点は何でしょう?

 親は決して子どもに何かを強制するべきではありません。

 でも、子どもが小さいときには歌を歌ってあげてください。歌は子どもを喜ばせます。楽器を選ぶときには、その子にとって適切な種類の楽器であることを確認してください。それから、違う楽器に替えさせることを恐れないでください。

──練習を嫌がる子どもにどう接すればいいでしょうか。厳しく?それとも優しく?

 多くの子どもがひとりで練習するのを嫌がるのは普通のことです。小さい子どもは特にそうです。

 ですから、子どもたちが集まって一緒に歌ったり演奏したりすることは、多くの子どもにとって大変有効なことなのです。だから私は、子どもにとって最高の音楽教育は、合唱団に入れることだと強く信じています。

 練習することは良いことだと親が思っているのは子どもにも分かります。だから最終的に練習をやるようになるものです。そして上手になり始めると、野心が湧いてきて、真剣に練習をするようになります。定期的な発表会も重要ですね。子どもは上手に演奏することは好きなのです。

──子どもの音楽の才能を見極めるのにはどうすればいいでしょう?

 どんな子どもにも音楽的センスはあります。そして才能は、ある程度までは訓練で伸ばせるものです。

 子どもに歌いかけてください。一緒に歌ってください。よく見てください、子どもが自分から歌い始めるかどうかを。

 その子はメロディーをまねられますか? 音程を外さずに歌えますか? 曲のリズムを保てますか? その子は音楽にどう反応しますか? 探すべきサインはたくさんあります。

 でも、忘れないでください。強制してはいけません。あなたが置いたきっかけを、その子が手に取るかどうか。それを見るのです。

シュタットパーク(ウィーン市立公園)にて(写真/www.lukasbeck.com)
シュタットパーク(ウィーン市立公園)にて(写真/www.lukasbeck.com)

2014年に来日し浅草を訪ねたときの写真。子どもなので講演で来日しているときも勉強や社会科見学などを欠かさないという
2014年に来日し浅草を訪ねたときの写真。子どもなので講演で来日しているときも勉強や社会科見学などを欠かさないという