hitomi うわぁ、最も危ないエリアなんですね。そういえば、以前、マンションの敷地内に不審者が入ってきたことがありました。保育園に娘をお迎えに行くため自転車を取りに行こうと思ったら、その通路を横切るように寝そべっていた人がいたんです。
子どもを狙っているとか、住民に危害を加えているとかではなさそうでしたけど、何か起きてからでは遅いので、急いで保育園に向かって先生に相談して、警察を呼んでいただいたんです。そのときは事なきを得ましたが、まさかうちのマンションに限って……と思いました。住居といえども安心できないですね。
小宮 もしマンションの敷地が誰でも入れる場所なのでしたら、特に注意が必要です。ただ、大変いい対処の仕方をされたと思います。たとえその見知らぬ人に犯罪をするつもりがなくても、声の掛け方によっては刺激を与えてしまい、危害を加えられる可能性もありますからね。自分で何とかしようとせずに、管理人さんや警察など適切な機関に即、通報するのがベストです。
日本の安全神話はすでに崩壊! 過剰な防衛心がちょうどいい
hitomi 事件を未然に防ぐためにも、念には念を入れて対処する必要がありますね。なんだか最近は通り魔的な事件も多いですし、日本にいても安全とは思えない感じがします。
小宮 そうですよ。日本は安全だと思い込んでいる人が多いだけで、実際は誰もが危険と隣り合わせです。法務省が全国で行っている被害者調査のアンケートを基に犯罪件数を独自に調べてみたのですが、警察が発表している件数の5倍は実際に起きている感覚があります。子どもを巻き込んだ性犯罪は10倍くらいになるかもしれません。事件の被害に遭っている人が、思っているよりももっとたくさんいるということです。
先ほどhitomiさんは「極度の怖がり」とおっしゃっていましたが、今の日本では過剰とも思えるくらいの防衛心を持つのがちょうどいいんです。
hitomi 上の子も私に似て怖がりなんですけど、警戒していていいんですね。
小宮 お母さんが非常に慎重に行動されているのをお子さんがそばで見ているのは大切なことです。一番よくないのは、親が「ここは危ないのよ!」と言っておきながら、自分自身は危険に対して無防備なこと。「今日は急いでいるから、いいわ」と危ない道を歩いてしまうと、子どもも「ママはこの道危ないって言ってたのに大丈夫なのかな!?」と混乱してしまいます。親御さん自身が、しっかりと防犯の姿勢や行動をお子さんに見せないと伝わらないので気を付けたいですね。
繰り返しになりますが、大切なのは「入りやすい場所」と「見えにくい場所」が危ないということを知っておくこと。これを子どもに意識させるだけで、犯罪に巻き込まれる可能性を90%は減らすことができるんです。
「目から鱗の、大変ためになるお話ばかりでした」(hitomiさん)、「次の回では実際に街を歩きながら解説していきましょう」(小宮先生)
——次回は、実際にどんな場所が危険なのか、その見分け方を小宮先生と一緒に街を歩きながら見ていきます。
(文/伯耆原良子 写真/有本真大)