子育て時代、息子を風呂に入れるのが最高の喜びだった
前川燿男・練馬区長
DUAL編集部 前川区長は東京都の職員として長年勤め、その後、企業の執行役員、大学客員教授を経て2014年に区長に初当選されました。
前川区長(以下、敬称略) 34年強を都の職員として勤めました。私は九州の出身、都庁時代に職場結婚した妻は、北海道の出身です。長男は28歳で、近く結婚することが決まっています。
妻は今では退職していますが、子育ては共働きしながら、保育園の送り迎えや、ミルクを与える、風呂に入れる、そういったことは分担してやりました。自分の子は実にかわいいものです。役割分担とか、「イクメン」とかいうのはさておき、自然と関わりたくなるものですよ。乳飲み子のわが子を風呂に入れるなんて、最高の喜びじゃないですか。ショックだったのは、どんなに父親として育児に関わっても、子どもが母親に懐くことだったね!
練馬区との縁は、東京都の計画部にいたころ、結婚して、どこに住むかという話になったときです。地震に強く、安全、便利。さらには将来性を考えて、練馬区に家を持つことにしました。以来、在住31年になります。今でも光が丘公園をジョギングするのですが、都内で土の上を走れる環境なんて、あまりないですよ。
―― いずれ区長になるといった展望は持たれていたのですか?
前川 いいえ、区政を預かることになるとは、思ってもいませんでしたよ。行政で私が大切にしていきたいのは、目先でなく中長期的な視野で実態を見て、必要な手を打っていくこと。世の中が、「今これが必要なんだ」ということももちろん大事ですが、そこから一歩引いて、もう少し先のことも見て判断していこうと思います。
子どもの問題についても、同様です。今、待機児童の解消に関心が向いていますが、冷静に考えると、この問題は、私が都の職員になった昭和40年代から、状況としては全く変わっていないのです。