小林 例えば、保育園の情報はネット上に結構出ていて比較的集めやすいんですが、学童の情報は口コミに頼るしかない部分が大きかったり、病後児保育、転勤先情報も集めにくかったりしますよね。そんなときは名簿を見て経験者にコンタクトを取ることができます。
さらに知りたい情報があれば、世話役を通じて会員にアンケートを取ったり、ランチ会を開催して情報交換をしたりすることもあります。以前、海外出向しているワーママにどんな生活をしているのかアンケートを取ったときは、「ママでも海外赴任ができるんだ!」と多くの人の後押しになったようです。
25年前に会ができたときは、出産を機に退職する人が多かったので7人の小規模な活動だったと聞いています。今のようにネットで子育ての情報を得ることもできませんし、育休制度は無くて産休制度のみの時代を生き抜いてきた少数派のワーママ同士が、子育て情報を紙にプリントして配るなど情報をシェアしていたそうです。
東日本大震災の節電時は困った50人以上が集結
―― 具体的な情報を得ることができれば、育児と仕事の両立の助けになり、仕事のパフォーマンスも上がりますね。
小林 そうですね。他にも東日本大震災のときには全国的な節電の動きから、製造業の多くが電力需要の少ない「土日稼働、木・金休み」でした。土日に子どもを預ける場所に困った会のメンバー達が、対策を話し合うために本社で会合をしたこともあり、そのときは50人以上が集まったうえ、電話会議で在宅勤務や他事業所の人も参加して、大盛況でした。
このときは結局、ワーキングマザーの会の意見が吸い上げられる形で在宅勤務の利用上限に土日の追加在宅を認めてもらったり、土日に社内託児所を開所し、託児年齢を引き上げて学童児も預かるなどの特別対応をしてもらったりすることで、何とか乗りえることができたんです。
―― ワーママ達の声を会社側がきちんと吸い上げる形ができ上がっているのですね。
小林 その分、商品企画の現場では子育て世代の女性の意見として会の意見をまとめたりと、協力することもあります。今後も、会社側とこうしてうまく連携しながら、子育てしながら働きやすい環境をつくっていけたらと思います。
(文/中島夕子 イメージ写真/鈴木愛子)