私が通っていた病院では、午前は採卵、午後は移植というように時間が分けられていた。確かに、毎日ルーチン作業的に患者の採卵、移植を行うのだから、お昼休みを境目に作業内容を分けておいたほうが、ドクターやナースの手間も減るし、ミスも減るだろう。
採卵の日、会社のある人は、必然的に午前中仕事を休まなければいけないことになる。
こればかりは、不妊治療を行う上で、避けられないことであり、また仕事をしている妊活中の女性にとって、最も大変なことだと言えるだろう。
唯一救いなのは、卵子採取は時間がきっちりと決められていること。そのため、だいたい何時くらいに終わるのかが予測できるのだ。
卵子採取2日前の自己注射の時間はぴったり23時15分
この卵子採取の時間は、2日前に打つ注射の時間によって違ってくる。
この注射はHCG注射だったり、リュープリン注射だったりするのだが、打ってからぴったり36時間後に採取される。 この時間はとても重要で、23時15分なら、必ず狂いなく23時15分に注射を打つように指示をされる。もちろん自己注射だ。カレンダーに指定された注射の時間を記入し、夫にもリマインドをお願いしておく。まるで大事な会議があるかのように……私のiPhoneとシステム手帳にはその予定が記入された。
排卵、採卵のため必要となる薬や注射の時間は、病院でしっかりと管理される。この時間を守らないと、せっかくの治療も台無しになるので、気をつけないといけない。私はiPhoneにアラームを付けて忘れないよう、自分自身にリマインドしていた
卵子が採取されてすぐに夫の精子と受精されるため、夫も同伴する必要がある。これが難しい人の場合は、お金を払えば、事前に精子を冷凍保存しておくことができる。
不妊治療は女性が一番負担を強いられるが、こうして男性にとっても会社を半休しなければいけなかったりと負担が伴う。金銭面では工面できても、私や夫のようにスケジュールを柔軟に変更できないと、やはり不妊治療が難しいのは日本もアメリカも一緒である。
採卵の日がやってきた。採卵は、無麻酔で行われた。