ピーマンやほうれん草は淡い色のものを選んだほうがいい
内田 緑色の野菜は、色が淡いものを選ぶといいです。淡い色の正体は「クチクラ層」という薄い皮膜なんだけど、この皮膜には表皮を紫外線や乾燥から保護する働きがあって、自然にきちんと細胞分裂を繰り返して育った緑色野菜には必ず形成されているものなんですね。ピーマンもほうれん草もブロッコリーも真緑じゃなくて、淡い色のものを選んだほうがいいです。
hitomi 緑が濃いほうが栄養がありそうに見えるけど、そうじゃないんですね。自然に育った元気な野菜は淡い色をしているとは驚きです。この内田さんのピーマンも真緑じゃないですもんね。
内田 火を通したら真緑になりますよ。だいたい65度以上になると、真緑になってきます。ちなみにhitomiさん、野菜を茹でるときって塩茹でしてますか?
hitomi 塩茹で、しちゃってます! 今の季節は特に枝豆とか。
内田 あら~。季節のものは塩茹でしないで、茹でたらおか上げしてから軽く塩を振るんです。あとはオリーブオイルなどでマリネするだけでおいしいですよ。枝豆も塩茹でせず、85~90度くらいでゆっくりと茹でて、なり口の上の背中が開いたらザルに上げて軽く塩を振る。そのほうが味わいが出るんです。塩茹でしても、アクは取れないし、味も付かないですからね。
hitomi なるほど。これからはお塩入れないでやってみます。
内田 野菜の目利きのポイントは他にもあるよ。野菜の中でも一番大事な心臓部分が軸なんだけど、ここがきゅっと締まって中心にあるものが元気な野菜なんだね。この軸は、いわゆるお母さんの胎盤と子どものへその緒でつながっている部分と同じで、栄養を供給する命の要なんです。この軸が大きいということは……。
hitomi 分かりました! 旬のものじゃないか、肥料が多いか、農薬が多く使われているか、ですね。
内田 その通り(笑)。あと、ダイコンやニンジンは表面からひげ根が出ていますが、ひげ根の跡がまっすぐ均等に並んでいるものはいい育ち方をしているということ。それからトマトはヘタではなく、お尻部分に注目してみてください。少し盛り上がった筋目というのがありますが、その筋目の数と、実の中の種が詰まっている部屋(子室)の数は一緒なんですね。要するに、筋目が多い=種が多いということで、子孫を残そうとする生命力にあふれているトマトということになる。ジャガイモなどで根や芽の数が多いのも、同様に力強い生命力を示しています。
hitomi スーパーに行って確かめるのが楽しみになってきました。
内田 最後のポイントは、腐る野菜ではなく、枯れる野菜を選びましょうということなんだけど、野の草花や山の木々で腐ったのを見たことありますか? 野生の植物はみんな枯れるのが自然なんだけど、人の手で人工的に育てられたものは腐るんですよね。白菜などで葉先が枯れているものがあるけど、それはその白菜に合った自然条件のもとで育ったということなんです。
hitomi いやぁ、目利きのポイント、野菜を選ぶときの参考になりますね!
腐ったのではなく、1~3年かけて枯れていった野菜はこんなふうになる
――明日掲載の記事で、hitomiさんが内田さんに旬の夏野菜を使った簡単な料理を教わります。お楽しみに!
(文/伯耆原良子 写真/有本真大)