お風呂で絆を深め、わが子とのすれ違いを防ぐ
子どもの遊びの専門家、愛知教育大学の竹井史先生にインタビューした第1回記事「水遊びは子どもの感覚を磨き、生きる力を与える」で、「肌と肌が触れ合うスキンシップがたくさんできるお風呂での水遊びは、親子の絆を深めるためにはうってつけ」といったお話を伺いました。子どもとただ一緒にお風呂に入るだけでも楽しいものですが、どうせならもっと親子で楽しいお風呂の時間にしたいものです。
愛知教育大学教育学部創造科学系教授の竹井史さん。水遊びやプール遊び、どろんこ遊びなど様々な住民参加イベントを企画して、7万人以上もの親子に遊びを伝えてきた
お風呂遊びで親子の絆を深めるには、親が意識しておくべき基本的なポイントがあると竹井さんは言います。
「子どもとの共感体験をたくさんするということですよね。『気持ちいいね』とか『楽しい』『面白い』っていう感覚を言葉でやりとりすれば、子どもは子どもの世界から自分の言葉で必ず返してくれます。そういったポジティブな共通の体験を持つということが何よりも大切なんです」
言葉を使ったやりとりのなかでの共感体験を通じて、子どもと親が理解し合うことがお風呂遊びで一番大事なことです。
「親は大人の立場で子どもに何かモノを言い、子どもは子どもの立場でモノを言うばかりだと、お互いにわかり合って理解しているようでいて、実はすれ違ってばかりということになってしまいがちです。そうではなく、いろんな感覚器官を通した共通体験をするなかで、お互いに気持ちいいなっていう体験の積み重ねをたくさんする。漫才コンビ、クマムシの『あったかいんだからぁ♪』の世界ですよね(笑)」
お互いに気持ちよさを理解し合えるようになり、親が「気持ちいいねえ!」と言えば、子どもは「うん、気持ちいい」と返すようになる。すれ違いがちな親子であっても、そこが突破口になって絆が深まるようになるのだと竹井さんは言います。
「最初はすれ違いばかりで細いパイプなのかもしれませんが、お風呂に入って遊びながら徐々にお互いの共感的な世界を広げていくようにしていただきたいですね。あとは、皮膚を通した感覚体験、スキンシップもたくさんしてください。さらに、どんな遊びにしても、子どもと一緒にストーリーを作って遊ぶように心がけてくださいね」
それではここから、竹井さんがオススメする親子の絆が深まるお風呂遊びを6つ紹介します。実際に娘と一緒に遊んでみた体験もお伝えしますね。
できる親は尊敬される、手指や手のひらも鍛えられる「両手で水鉄砲遊び」
【遊び方】
親子で両手の手のひらを合わせて握り、親指と親指の間からお湯をピュッピュと勢いよく出して遊びます。
【竹井さんのアドバイス】
これは、誰でも小さい頃に遊んだことのあるベーシックな遊びだと思います。とはいえ、なかには苦手でうまくできない親御さんもいらっしゃるかと思いますので、そういう場合は密かに練習してください(笑)。
この遊びも悪ノリは禁物で、子どもの顔にかからないように気をつけましょう。また、的を作って遊ぶとより盛り上がります。お風呂の中だと、壁にせっけんの泡を付けておいて的にして遊んだり、小さいペットボトルをお風呂のふちに置いてそれを倒すといった遊びも面白いと思います。手指の巧緻性や、手のひらの力加減の調整力なども鍛えられる遊びです。
【パパライターの感想】
娘はこの手水鉄砲がなかなかできません。けっこう以前から練習しているのですが、コツがなかなかつかめないようです。手水鉄砲ができるだけで尊敬されるのは、親としてはちょっと嬉しいのですが(笑)、まだまだ練習が必要なようなので、楽しみながらできるようにしていきたいと思います。