有給の産休は、ビジネスにとってプラスになる――
こんなタイトルで昨年12月、米経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』に寄稿した、動画共有サイト「YouTube」のCEO(最高経営責任者)、スーザン・ウォジスキさん。そのとき、46歳で妊娠8カ月。5人目の子どもの出産準備で休暇に入るタイミングだった。「私の家族やキャリアにとって、産休はとても貴重な機会だけれど、“特権”だとは思っていません」(同紙)
周到に計画し過ぎないことが大切
むしろ、アメリカでもっと多くの人が当然の権利として産前産後休暇を取れるように社会が変わってほしい、というのがスーザンの願いだ。女性の社会進出が目立つアメリカだが、実は有給で産休が取れる企業は一握りでしかない。スーザンはできるだけ産休は個人の事情に合わせて柔軟に復帰時期を決められるようにすべき、という考えもあり、自身の復帰時期については非公開とし、代理のCEOを置くこともしなかったという。
国連のILO(国際労働機関)によれば、政府による有給での産休の法規定がない国は先進国で唯一アメリカだけ。途上国も含めた調査対象の185カ国のなかでも、パプアニューギニアとアメリカのみだ。こうした現状をふまえ、スーザンは著名企業のトップとなった今、産休を取る姿を広く知ってもらうことが大切だと考えているのだ。
5人目の子どもの出産を控えたスーザン。グーグルの幹部と。2014年11月(写真:ロイター/アフロ)