博物館ならテーマ決めと調べ学習が一度にできる
いざ自由研究をはじめようと思っても、「何から手をつければ良いのかわからない」という子ども、そして親も多いのでは? 東京・北青山にある、ロボットや3Dプリンタといった最新のテクノロジーを体験できる博物館・TEPIA先端技術館広報の西岡さんによると「そういう親子が興味のあるテーマを見つけるために、TEPIA先端技術館を訪れるケースは多い」そうです。
TEPIA先端技術館広報・西岡さん(以下、西岡)「自由研究を始める時、何から手をつければいいか分からないという人は、テーマを無理に決めようとせず、博物館を訪れ展示を見てみるのが良いと思います。例えば当館ではロボットや近年話題の3Dプリンタなど、最先端のテクノロジーがどのように社会に活かされているかを5つのテーマに分けて展示しています。地震やセキュリティなど子どもに馴染みのある展示も多く、きっと何か興味をひくものが見つけられると思います」
テーマを決められない理由の1つに「そもそも子どもが選択肢を思いつかない」というものがあるのですが、その点、博物館には「一度にたくさんのテーマに触れられる」というメリットがあります。また、興味を持った内容で疑問があれば、学芸員などの専門家が答えてくれるのもポイント。テーマ決めと調べ学習を一度にまとめることができるのが、自由研究に博物館を使う大きなメリットです。
TEPIA先端技術館では「アテンダント」と呼ばれるスタッフが展示スペースに在駐。年齢や理解度にあわせた説明を行ってくれる他、平日には事前予約制で興味のあるものを重点的に解説しながらまわるアテンダントツアーも実施
西岡「もし当館で興味のあるテーマが見つかったら、説明を読むだけでなく、ぜひスペースに在駐しているアテンダントに声をかけてみてください。アテンダントは大人向けの専門的な内容から、子ども向けの噛み砕いた説明もできるので、理解を深める近道になると思います」
西岡「当館では最新技術をテーマに扱っていますが、それらをただ紹介するだけではなく、どう使われているか、どういう仕組みになっているかという具体的なことを教えられる場所になるよう心がけています。今はキットなど与えられたものを使って組み立てるのは得意でも、ゼロから作ることができない子どもが増えているんです。何かを作りたいけどどうすればいいかわからない子どもたちに、具体的な手段を示してあげられる場所になれば」
実際、自由研究などを通して理系の博物館に親しんだ子どもが、工学系を目指すケースも多いようです。
西岡「現在、夏休みの特別企画としてTRYBOTSという現役大学生のロボットクリエイターにさまざまなイベントをお願いしているのですが、その一員である近藤那央さんは小さい頃からよくお父さんと一緒に当館を訪れていたそうです。最先端技術はすごいという認識はあっても、自分とは縁遠いものだと思いがち。でもこうした機会に触れてみることで、身近なものとして捉えることができるようになります。自由研究は子どもが自主的に考える絶好のタイミング。ぜひこの機会に、子どもが興味を持てる何かを見つけてほしいと思います」
カメラと連動して人の動きを読み取り、その姿を写してマンガの世界に瞬時に入り込める「マンガジェネレーター」。こういった体験コーナーが充実しているのも子どもの興味を惹きやすい
次のページからは、TEPIA先端技術館をはじめ、自由研究に使える展示やイベントを開催している理系の博物館を紹介します。