子どもの質問に大人は「わからない」と正直に答えていい
自由研究のスタートとなるのが、子どもの疑問です。親子で自由研究を進める場合、その疑問を上手に生かしてあげたいもの。
ただ子どもの疑問は、親にとって時として予想外なものも少なくありません。中には「子どもの疑問の全てに答えなければいけない」と構えてしまっている人もいるかもしれませんが、当然大人であっても分からないことはたくさんあります。
「そんな時は正直に分からないと子どもに言ってあげることが大切」と国立民族学博物館准教授・上羽さんは言います。
国立民族学博物館准教授・上羽さん(以下、上羽)「子どもから自分の答えられない質問をされた時、お母さんやお父さんも『分からない』とは、なかなか言えていないんですよね。でも、そこが凄く大事なんです。そういう時は正直に『お母さんも分からないから一緒に調べようよ!』と、声をかけてあげてください。そうすると、子どもは『大人でも知らないことってあるんだ!』と、知らないという事実に対して前向きにとらえられるので、抱いた疑問を調べて解決するという習慣が身についてくると思います」
大人が正直に「知らない」と答えることは、子どもにとって「調べる」という行為に対するハードルを下げることへとつながります。
とはいえ「調べる」のも簡単ではありません。上手く文献や資料が見つけられず、研究が難航することもあると思います。上羽さんによれば、そういう時に大切なのは「何について調べているのかを明確にすること」だそうです。
上羽「図書館や博物館などで資料を探すと、自分の力だけでは見つけられないことも多々あるかと思いますが、そういうときは司書や学芸員などに聞いてみてください。ただ、人に質問するには『どういうテーマについて知りたいのか』『何について調べているか』をはっきり伝えられなければいけません。対象物が曖昧であるのに資料を探すというのはとても難しいことなのです」
確かに何について知りたいのか自分がはっきり分かっていなければ、他の人も探しようはありません。
上羽「これは人に聞く時だけに限った話ではありません。資料探しなどで行き詰まった時は、闇雲に探すのではなく、一度、知りたいことについて整理する。何を知りたいかをはっきりさせることで見つかるものもあるはずです」
国立民族学博物館では、展示品の解説映像を閲覧できるPSPを貸し出してくれるサービスもある。こういった資料を上手く活用すると良いだろう
次のページからは、上羽さんに調べ物の時に注意するポイント、そして文系博物館の利用法をさらに教えていただきます。また国立民族学博物館以外にも、全国の10の博物館情報も掲載しています。