「とにかく5年は頑張っていこう」と決意
「ここまでやってこられたことが嬉しいですし、より厳しく実績が求められるステージに入ったと気持ちを新たにしています」と話す堀江敦子さん
羽生編集長(以下、羽生) 堀江さんは、学生さんに向けたキャリア教育という新しいビジネスを展開なさっていますね。日経DUALの読者は子育て中の30~40代の方々が中心ですが、ワークライフバランスに関心のある学生さんも読んでくださっているようなのです。今日は20代で起業という選択をした堀江さんの軌跡を、「人生時計」という軸で伺わせてください。
堀江敦子さん(以下、敬称略) 年齢を3で割った数字で、時計の時刻に見立てるんですよね。それでいうと私は……。
羽生 ちょうど30歳でいらっしゃるので、まだ午前10時!まだまだたっぷり時間がありますね。堀江さんの場合は早くからご活躍されているので、充分にエンジンもかかった状態ですね。
堀江 はい、起業したのが25歳の時なので、ちょうど5年になりました。当初は「とにかく5年は頑張っていこう」と決意したので、ここまでやってこられたことが嬉しいですし、より厳しく実績が求められるステージに入ったと気持ちを新たにしています。
「両立するのは大変そう」という意識を変えたい
羽生 まず、あらためてスリールの事業についておさらいさせてください。
堀江 「仕事と子育てのリアルについて知りたい」と考えている学生たちが、実際に共働きの家庭で子育てを体験する「ワーク&ライフ・インターン」というプログラムを行っています。受け入れていただく家庭にとっては育児のサポートを得られて、学生にとってはキャリアの先輩の実生活や経験に触れられる。双方にとってWIN-WINの仕組みを作っています。
羽生 いわゆるベビーシッターサービスとは一線を画すわけですよね。
堀江 はい。ワーク&ライフ・インターンの主役はあくまで学生たちです。今、大きな社会問題となっている少子化や女性の就労継続のテーマの根っこにあるのは、「仕事しながら育児を両立するのは大変そう」という意識だと私は思っています。この意識を変えるのが私のやりたいことで、そのために大事なのが「リアルな体験」なんです。学生に体験を通じて、気づきを与える機会を提供する仕組みを考えました。具体的には、月に6回、同一の家庭に2人1組の学生が伺って、保育園までお迎えに行ったり一緒に遊んだりといった子育てサポートをします。
4カ月を1タームとして同一の家庭に継続的に入らせていただくことで、「働きながら子育てする」という生活の実態を間近で見たり、時には社会人の先輩に就職の相談をしたりする貴重な機会を得られるんです。その間、月に1回、企業の人事担当者など招いてのキャリア勉強会にも参加してもらいます。学生にとっては“学び”の機会なので、交通費のみ支給としています。協力家庭には実働の半分にあたる月3回分の費用をいただいています。
羽生 実際にどれくらいの数を手がけていらっしゃるんですか?
堀江 今の体制では一度に受け入れられる学生数が限られてしまうのですが、これまで350人以上の学生を送り出してきました。企業と組んでのプログラムなど含めると、年間1200件ほど行っています。