国務大臣として女性活躍、少子化対策、男女共同参画などを推進し、自らもワーキングマザーとして活躍中の有村治子大臣。新たな「少子化社会対策大綱」について聞いた第1回のインタビュー(『有村大臣 妻産後の男性の休暇「8割」は可能?』)に引き続き、今度は「女性活躍」と仕事と家庭の両立について伺います。
キャリアとプライベートは両立可能か?
羽生編集長(以下、羽生) 有村大臣は、若い世代や子育て世代が例えば議会に入り、管理職になり、意思決定のポジションに就くことが子育て世代の声を代弁するまで大事だとおっしゃっていますね。ご自身もお二人の子育て真っ最中だということで、私たちも心強く感じています。
有村大臣(以下、大臣) やはり、実感を持って訴えることのできる若い人たちが意思決定の場や議論の場に参画することは日本の持続可能性を高める上でも必要ですね。
「若い世代がリーダーや議員になり、意思決定層に入ることで大きな一歩を踏み出せます」
羽生 これまで思っていたけど言えなかったことを、有村大臣が強い言葉で言い続けてくださることが助けになっていると思います。私たちDUAL世代ももっと声を上げていくべきですね。
大臣 職場で声を上げることも大事ですし、政治への参画も極めて大事です。全国の議会で女性議員が少ないことの理由のひとつに、安心して出産できる環境が整っていないことがありました。女性議員が妊娠して出産休暇、育児休暇を取ると「あなたに出産、育児をさせるために1票入れたわけではない」と言われますし、出産・育児の経験がなくて少子化対策について声を上げると「まずは子どもを産めよ」という心ない言葉をかけられることもありました。男性だけでなく、同性からも厳しい目を向けられて来た複雑な女性議員の心境がありました。
羽生 いまだに企業によっては、育休を取りづらいという声は聞こえてきます。同性からも厳しい視線があるというのはわかりますね。
すべての議会で議員も「出産」を理由に公務を欠席できるように
大臣 公務を欠席する理由として「出産」を明記することは衆議院、参議院は実現していました。今年5月には、市町村の標準会議規則も改正され、都道府県議会の中でまだ明記していなかった3県が今年の6、7月の議会で実現することになり、ようやくすべての都道府県議会で、出産するときには正々堂々と公務を欠席できるようになりました。
多様な経験を持つ人々が、地域の未来を作ることに参画できる。地道な生活感を政治に反映できるということは暮らしやすさにつながることですから。
羽生 「社会のあらゆる分野において、2020年までに、女性が指導的地位に占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」(第3次男女共同参画基本計画<平成22年12月閣議決定>)と打ち出されています。2020年まで、あと5年を切りました。有村大臣は民間企業でも働いていらっしゃいましたが、今後の見通しはどのようにお持ちですか。
大臣 この目標は、閣議決定以前、平成15年に男女共同参画推進本部が決定したもので、10年以上前から掲げられていたものでしたが、当時はほとんど知られていませんでした。
今回、安倍総理がこれを政策の最重要課題に掲げたことは日本にとってプラスだと思います。70年前に女性が参政権を手にし、30年前の男女雇用機会均等法を経て、これが3回目の盛り上がりだと言われています。専業主婦の生き方の価値を大事にして、その声をも代弁しようとしてきた保守政党である自由民主党が、「外で働きたいという女性も積極的に応援しよう」とそれぞれの価値観を尊重して応援することを明確にした点に新鮮さがあると思います。
羽生 女性が社会進出するためには、さまざまな闘争がありましたね。