最初の言葉は、「僕を見て、びっくりした人はいる?」
読み聞かせ授業を行った場所は、文京区立青柳小学校のPC教室。児童達は、教室に入るとクラス別に分かれて座りました。その後、乙武さんが教室に入ってきました。
児童達は、乙武さんの姿を見て、驚きながらも好奇心が隠せない様子。そこで乙武さんは、こんなふうに話し始めました。
「こんにちは。まずは自己紹介をさせてください。僕は、乙武洋匡といいます。この中で、僕を見てびっくりした人はいる?」
読み聞かせの前に、児童達とコミュニケーションする乙武さん
児童達は、次々と手を挙げます。それを見た乙武さんは、手を挙げた児童に向かって「どんなところにびっくりしたのか、教えてくれる?」と尋ねました。すると児童は、「車椅子に乗っていたから」「手がないのに運転していたから」と次々に答えていきます。
そこで乙武さんは、児童達が興味を持った車椅子のこと、自分の体のことについて話し始めました。
「さっきみんなは、この部屋に僕が入ってきてびっくりしたよって言ってくれたんだけど、実は僕のお父さんとお母さんも、生まれたばかりの僕を見てびっくりしたそうです」
児童達は、「ええ~!」「生まれたときから?」と声を上げました。事故や病気で手足を失ったと思っていた児童が多かったようです。
「そうなんです。病気や事故で途中からこういう体になっていたのではなくて、お母さんから生まれてきたときに、既にこの体だったんだよ。どうしてこうなったのかは、お父さんにも、お母さんにも、お医者さんにも分からないんだって。でも、この体でも、いろんなことができるんだよ。階段を上ったり、走ったり、ボール遊びをしたりすることもできるんです」
乙武さんは、そう説明しながら、児童達の前を歩いたり走ったりしてみせます。児童達は、そんな乙武さんを見て、大喜び。好奇心は、すっかり満たされたようです。