プリプリ時代のことを子どもにちゃんと話したのは、3年前が初めて

 プリプリ時代の映像を見せることもあえてしなかった。別に自分の過去を否定しているわけではなく、自分の子どものころの写真を子どもにしょっちゅうは見せないのと同じ感覚でした。いずれ、どこかで私の過去を耳にするだろうし、その時に興味があれば教えてあげよう、というくらいでいました。

 そんな状況ですから、子どもたちが私が歌う仕事をしていたことを知ったのは、外からの情報です。誰かがテレビで『ダイアモンド』を歌っていたりすると、「おまえのかーちゃんの歌だなー」なんてなったりして、「え、そうなの?」ってなるパターン。子どもたちから聞かれると、「まーねー、昔ちょっとだけそういうこともしてたよー」なんて話す程度。

 実は、私が自分のことを子どもにちゃんと話したのは、3年前、プリプリの再結成のときなんです。

 バンドメンバーとの再結成の打ち合わせのとき、解散ツアーの最終日の映像鑑賞会をやったんです。うちの子どもも含めて。息子は主に、「これ、マジ!?」「何この服、すげーな!」。娘は「お母さん、こんなだったのー?」って。私は「あなたたちが生まれるうんと前の話だけどねー」なんて言うと、いちいち新鮮に驚いてくれました(笑)。

新曲『DREAM』へ込めた思い

 そんな子どもたちを見て思い出したのが、“抱っこひも”と“おんぶひも”。子どもが二人とも小さかったころ、リュックを前後に背負っている感じだなーと思っていました。椅子に座っていれば、上の子はおんぶして、下の子は抱っこしていたし、外を歩くときも、下の子を抱っこして、上の子は手をつないだり。ときに曲芸なみに子どもをママチャリに乗せることも。世の中のお母さんたちはそうやって、必死で子育てをやってきている。新曲『DREAM』の歌詞に「前に後ろに 愛を背負って」というフレーズを入れたのは、そんな思いからです。

 子育てだけじゃなくて、がむしゃらに走ってきた皆さんに、突っ走ってきたものが一段落したら、一度しかない人生、もう一度、自分が輝ける時間を求めてもいいんじゃない? ということを歌った曲。世の中のお母さんたちの気持ちにちょっとでも届くとうれしいです。

(ライター/松田亜子、撮影/稲垣純也)