日中は不規則な過密スケジュールが続くからこそ、早朝にルーティンを
野呂エイシロウさん
野呂さんが平日に青山にあるオフィスに入るのは朝9時半。その後、夜22時まで、ほぼ休みなくスケジュールが入っています。移動は専らタクシー。放送作家としてテレビ局での番組打ち合わせ、PR戦略のコンサルタントとして企業に赴いてコンサルティングを行うなど、仕事の内容は多岐に渡ります。
多忙な野呂さんが重視するのが「仕事や家事のルーティン化」。そして、平日と休日の緩急を付けて、リズミカルに過ごすこと。
クライアントから突然の連絡が入るなど、仕事柄、予測不能な事態に陥りがちな毎日。だからこそ、自分で時間をコントロールできる朝や休日には、できるだけ決まった時間に決まったことをする。それによって気持ちを安定させ、日々の仕事に臨んでいくことができるといいます。こんな野呂さんの“ルーティン化・スケジューリング術”。そのエッセンスは、仕事と育児の両立に奔走するDUAL読者も取り入れられそうです。
「平日は朝4時起きです。起床後にまず行うのは、食洗機の中の食器を棚にしまい、家中を丹念に掃除すること。意外ですか? 週に一度、ハウスクリーニングも頼んでいますが、ガスレンジに付いた古い汚れを取ったり、冷蔵庫の中の整頓したりといった細かい掃除を毎日少しずつ行っていますよ。一流の料理店っていつもピカピカじゃないですか。家がこんな状態だったら気持ちがいいだろうなと思ったのがきっかけですね」
その後のスケジュールも細かくルーティン化。朝の9時半にオフィス入りするまでに、ジョギング、入浴、ジムなどのスケジュールを分刻みで入れています。その多くが体を動かすことです。
「30代のころ、テレビ番組の仕事で僕が責任を取って降板したことをきっかけに、軽いうつ状態になったことがあったんです。結果、仕事が激減したため、気分転換に代々木公園の近くに引っ越して、公園でランニングを始めました。走るとベータエンドロフィンという“やる気ホルモン”が出て、しかも12時間持続する。当時、科学系の番組を担当していたので詳しいんですよ(笑)。すぐに別のテレビ局から声がかかって事態は解決したのですが、ジョギングはそれからの習慣です。そのほか週3日ジムに行き、そのうちの1日は泳ぐようにしています」
毎朝銀行で2万9000円を引き出す理由
その後も野呂さんならではのルーティンが続きます。近所の銀行に行って、財布の中の全ての現金をATMに戻し、新たに2万9000円をキャッシュで引き出して財布に入れます。
「これは経費管理が目的です。僕のようなフリーランスは、定額収入が約束されているサラリーマン以上に現金の流れに敏感にならなければなりません。収支は帰宅後、エクセルで何にいくら使ったかを整理します。毎日の出入金に敏感になっていればちょっとした変化も分かるし、もっと稼がなければとか、経費を減らそうといった手も打てます。引き出す金額を色々と試してみて、僕にとって過不足のない金額に落ち着いています」
土日も朝を重視。まず車のガソリンを満タンにし、洗車をし、洋服のクリーニング出しをして、1週間前に出していたクリーニングをピックアップ。洗車の待ち時間は、24時間営業の書店で仕事関連のリサーチに充てます。必要なことはすべて朝11時までに終わらせ、その後は就寝まで、向こう1週間に必要なデスクワークを全て行ってしまいます。
「さすがに土日は会議があまり入らないので、企画書や原稿の準備、メルマガ執筆といった、机に向かうクリエイティブな仕事に落ち着いて取り組めるんです。『せっかくの休みなんだから出かけないともったいない』みたいな感覚って、皆さんありませんか? 僕にはずっとありました。でも考えてみたら、無理に出掛ける必要はない。皆さんもせっかく家にお金を払っているんですから、もっと家を活用してもいいんじゃないかなあ。混み合ったカフェで仕事をするよりも、自宅で気に入った音楽をかけて、おいしいコーヒーを煎れて仕事をするほうが贅沢だと思うんですよね」