できない仕事は、代替案を出して交渉する
できる? できない? と聞く上司。一方的な合意バイアスにかからないために
Aさんは社内プロジェクトの部署の代表メンバーです。進捗会議に臨んだところ、プロジェクト運営委員からこう切り出されました。
運営委員 「Aさんの部署でAさんが提案した事例を事前テストしてもらい、それがうまくいったら、一気にこのプロジェクトは進みます! いつくらいにテスト結果が出せますか?」
Aさんは、少しびっくりして心の中でこう答えた。
(事前テストって何それ? そんなのは前回の会議で言ってた? でもプロジェクトが一気に進むなら、断るわけにもいかない。テストって何時間くらいかかるの? とにかくテストはしなくちゃいけないのよね。部長もこのプロジェクトは重要と言っていた。私の提案が採用されれば、評価が上がるはず! 取りあえず進めないと!)
Aさん 「テスト結果はいつまでに出せばよいですか?」
運営委員 「2日後に出してください。」
Aさん (2日??? 無理—!)「2日は厳しいです……。4日くらいなら…」
運営委員 「では、間をとって3日でお願いします!」
Aさん 「はい……。頑張ります」
Aさんはその後3日間残業し、テストを完了させ、無事運営委員にテスト結果を提出しました。しかしながら、運営委員は最終的に別の部署の提案を採用しました。
上手に交渉するにはバイアスを取り除くことが大事
よくありますね、こういうこと。よくあり過ぎて嫌になりますよね。
でも、このようなやり取りも交渉を使えば上手に対処できるようになります。
上手に交渉するには、自身のバイアス(思い込み)を取り除くことが大事なのですが、まず、Aさんはどのようなバイアスを持っていたか考えてみましょう。
テストが必要である、というバイアス
テストをAさんの部署でやるべき、というバイアス
合意しないといけない、というバイアス(「合意バイアス」)
テストが完了すればAさんの提案が採用される、というバイアス
バイアスにかからないためのポイントは3つです。(次ページへ)