子どもにレールを敷いてしまった。新たな挑戦を設定するには…
今通わせている学校に全幅の信頼を置いている2人。今後についてはどう考えているのだろうか。
柚木さん 大学まである学校なので、もし受験するとしても高校か大学で他に行きたくなったときくらいですよね。ある意味、レールに敷いてあげてしまった分、子どもの可能性を狭めたのではないかと悩むときはあります。ですから受験がない分、留学するなど何か挑戦する機会をつくりたいと思っています。
中井さん 小6までにやりたい仕事を自分で決めさせようと思っています。そのために社会を見たり体験したりする機会を多くつくっていくつもりです。やりたい仕事を決めたら、その仕事に就くためにどうすべきか逆算して考えさせ、何をしていくべきか見つけていく力をつけさせたいですね。
柚木さん 今、私は学歴があまり関係ない実力主義の業界で働いています。だからこそ、大人になって人としてどう生きていくかが重要。矛盾しているように見えますが、生きていく力を付けるには私立はいいと思っていますし、今後も子どもに考えさせる機会を多く与えていきたいですね。
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ただ学歴が必要だからではなく、人間力の高い人に育っていってほしいという願いから私立を選んだ2人。お受験があったからこそ、子どもの個性、そして将来をきちんと考えて、親として真剣に関わってあげる機会になってよかったと声をそろえる。受験を通して夫婦の結束も強まり、子どもの興味の引き出し方なども学べたそう。お受験で得られるものは、合格だけではないのかもしれない。
(取材・文/岩辺みどり)