努力する姿がひいては子ども達のロールモデルになる
―― 学長ご自身もハーバード大の大学院学部長を務めるなど輝かしいキャリアをお持ちですが、その陰には仕事と家庭の両立で多くのご苦労があったのではないでしょうか。
学長 私は児童心理学者ということもあって、母親であることをとても楽しんできました。サッカーチームのコーチもしましたし、子ども達と一緒にピアノを習ったりもしました。
当時は大学教授をしていて時間をやりくりしやすかったので、夕方5時に家に帰って子どもと一緒に過ごしてから、夜遅くに仕事をすることもできました。料理だけは自分でやりましたが、それ以外のことはすべてアウトソースです。掃除も庭の手入れもお金を払って人に頼んだし、買い物をお願いすることもありました。そうすることで、子どもとの時間をたくさん取るようにしました。
ハーバードで教授をしていた当時、心理学の教授38人のうち女性は3~4人だけ。周りにいいお手本となるような人はあまりいませんでした。でも、男性であっても「メンターになってください」とこちらからお願いすると、快く色々なアドバイスをもらうことができた。自分から行動することによって、男女関係なく、いいメンターに巡り合えたのは幸運でした。思い出すだけでどっと疲れが出るほど大変な日々でしたが、人生で一番いい時期でもありました。
―― 仕事との両立を頑張っている若いお母さん達に、ぜひメッセージをお願いします。
学長 自分の選択に自信を持ってください。キャリアを築きたいと思ったなら、そう思った自分の決断を信じ、目標に向かって努力してください。そうすれば、きっといい人生が待っていると思います。
そして、それがひいては子ども達のロールモデルにもなります。幸せな母親のもとで育つことで、彼ら自身も幸せになれると思うんです。
(文/谷口絵美 撮影/鈴木愛子)