リズミカルで音楽のような「講談」を体験
この日の演目は三席。トップバッターは講談の神田京子さんです。軽快なお囃子とともに舞台に登場すると、まずは講談の基本的な説明からスタート。説明といっても堅苦しいものではなく、子ども達との掛け合いを交えながら、ハキハキした口調で釈台や張り扇といった道具について解説していきます。
神田さんの前にあるのが釈台、手にしているのが張り扇。釈台で張り扇を叩いて講談のリズムをつくる
「講談の基本はリズム!」テンポ良く釈台を張り扇で叩く神田さん。「このリズムをとれば、どんなお話も講談になります」。そう言いながら、今度は子ども達に手拍子で講談のリズムを叩いてもらいます。江戸時代の仇討ち事件『吉良邸討ち入り』の講談にあわせて子ども達が手を叩くと、「ちょっとズレてるけど、イイねえ!」とにっこり。
子ども達が講談について理解した後は、いよいよ本番。この日披露されたのは『扇の的』という『平家物語』からのお話でした。
平安時代、源氏と平氏が対立していた頃のこと。平氏は源氏の弓の技量を試すため、扇を掲げた竿と美女を小舟に乗せ「この扇の的を射てみよ」と命じました。失敗すれば、美女に弓が当たってしまう。源義経はこの難題を、那須与一という弓の名手に託します。
話のあらすじはこんなところなのですが、講談独特の節回しで語られると大人でもやや理解しづらい部分も。しかし、神田さんもこの辺りはよくわかっていた様子。途中で講談を止めると「子ども達は意味がわからないと思うけど、大丈夫。大人も半分くらいはわかってないです!」と言って大きな笑いを誘っていました。
とはいえ、釈台を叩く音や講談の語りはリズミカルで、まるで音楽を聞いているよう。話の内容についても、わからないことを前提に講談の前後で神田さんが説明をしてくれるので安心です。また、この日はお話のみでしたが、通常のこども寄席ではこれに加えてスクリーンにイラストを投影し、話のあらすじがよく分かるよう工夫がされています。
「講談を聞くのは親子で初めてだったのですが、内容の説明があったので分かりやすかったです。おかげで子どもが理解できないところは私が説明してあげることができました」
終演後にお話を伺ったあるお母さんは、そう話してくれました。講談の基本の説明や話のあらすじが分かる工夫があるのは、子どもだけでなく親にとっても安心できるポイントのようです。
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