失職した子どもが家にいられる期限を決める
認定特定非営利活動法人・育て上げネット理事長・工藤啓さん
羽生 最近、子どもが仕事をやめたことに悩むお父さんやお母さんに会います。「勤務条件がどんどん下がる」とか、「うちの子は悪いループにはまっているんじゃないか」といった不安を口にされます。わが子が、せっかく入った会社をすぐに辞めたときは、どういう反応をすればいいのでしょう?
工藤 正解があるわけではないですが、会社を辞めること自体は別に問題はないと思います。実家で両親と共に暮らすことになるのであれば、“期限切り”はしておいたほうがいいと思います。
やはり今までの状況とは変わるわけですから、「半年、あるいは1年まではいい」「それを超えた場合はどうするか」といった約束をしておくといいと思います。
羽生 無期限に「ありのままのあなたでいいのよ」と言うのはよくないんですね?
工藤 そのご家庭の経済力にもよりますよね。ありのままを受け入れてもいいのは、親として、経済的に無期限で受け入れることが本当に保証できる場合のみですね。もちろん、永久に保証できるなんてことはないわけです。
蟇田 「無期限でもいい」と言ってしまうと、本当にそれでいいと思う子もいるんです。その結果、「働かない子どもが家に10年いる」というケースも実際にありますから、親が精神的・金銭的に耐えられる期限は決めておいたほうがいいでしょうね。
工藤 親が経済的に追い詰められたときに初めて、子どもに「出ていけ」と言うと、言われた子どももびっくりしますよね。そうではなく「1年間は家にいてもよしとする。でも、そこから先は一緒に住むのは私達も耐えられないかもしれない」と前もって言っておけば、1年間のバッファーがありますからね。