「親同士」として結ばれたネットワークが、ビジネスにも生きる

 親コネクトでは、テーマに基づいたセッションやランチミーティングのほか、年3~4回程度、親子で参加するイベントが行われている。これまでには、東北でのボランティアツアー、バーベキュー、潮干狩り、職場に子どもを連れてくるファミリーデーなどが開催されてきた。

 こうしたつながりは、育児の悩みや情報を共有できるだけにとどまらず、ビジネス面でも功を奏していると高久さんは言う。

 「『働く親』という共通項により、普段必ずしも仕事上のやり取りがないグループ内の異なる事業部門や他部署の社員と出会い、関係を築くことができます。あの部署にはこんなスキルを持つ人がいるのかといったように、社内の人を知ってつながることができる。つまり、ビジネス上で何か課題が持ち上がったときに、『あの人に相談してみよう』という、今までにない新しい社内コミュニケーションの可能性が生まれるわけです。実際、親コネクトでのつながりを生かし、ビジネスを発展させている例もありますよ。このように、部署の枠を超えたネットワークを築くことがグループ全体の活性化、業績アップにつながっていくと思います」(高久さん)

運営は「ボランティア」。一方通行にせず、役割分担してこそ意義がある

UBS証券でダイバーシティー推進を担当するエグゼクティブディレクター・堀久美子さん
UBS証券でダイバーシティー推進を担当するエグゼクティブディレクター・堀久美子さん

 親コネクトのイベントは、メンバーによるボランティアによって運営されている。ミーティングやメールのやり取りを通じて連携し、役割分担をしているのだ。

 「ネットワークを活性化するためには、コミュニケーションが一方通行にならないようにすることが重要だと考えています。具体的には、参加して利益を受けるだけではなく、自分自身が貢献するという意識を持ってもらえるよう努めています。それができればより持続可能な活動となりますし、加えてそれぞれが主催者の立場を経験することで、より幅広い意見やアイデアが反映される場になるはずですから」(高久さん)

 「誰しも『これだったら自分も関わりたい』というテーマがあるものですよね。それを引き出すことで、分担や連携がうまく運ぶと思います。一人ひとりが率先し貢献していくことが、皆にとって働きやすい環境をつくるために必要です」(堀さん)

* 後編に続きます。

(ライター/青木典子、撮影/稲垣純也)