「人的コストを3割削減できる」という手紙を書き、経営者の共感を獲得
―― 貴社の登録者と企業からの反応はどうでしたか?
三原 登録者は比較的早く増え、集めることに困難を感じたことはありません。問題は、登録者が働く先の開拓でした。
―― 経営者の皆さんにお手紙を書かれたそうですね。
三原 私は、「全員フルタイム」という働き方から、「『フルタイムの派遣』『パートタイム』『ワークシェアリング』という働き方をうまく組み合わせる」というスタイルに変更すれば、人的コストを約3割削減できる、と試算しました。
もし年間約100人の人材を雇った場合、雇用費用は約4億円と想定され(1人につき年間400万円とする場合)、その30%をカットできる。つまり1億3000万円を節約できることになるわけです。これを経営者宛てのお手紙にまとめました。「コストを1億3000万円削減できます」と提案すると大企業の経営者の方々も会ってくださいました。
―― 社会的意義や理念への反応はいかがでしたか?
三原 企業を訪問して、まず初めにお会いする人事担当者は、課長ないしは部長クラスの方なので、理想・理念的なものよりは、仕事のミッションをどう解決するかを重視します。つまり、現場から上がってきたニーズにどう応えていくかということが重要でした。
しかし、だんだんと会う方の立場が上がって経営トップに近づくにつれ、共感していただける部分が少しずつ変化していきます。経営トップは、その会社全体の仕事の仕方やミッションを変更することもできます。経営トップの方になるほど、理念への共感をお持ちいただけたと思います。
―― 主婦は効率よく仕事をするスキルもあり、能力が高いと聞きます。例えば、保育園にお迎えの時間に間に合わせるために、集中して仕事を終わらせるというのです。こういった特徴も、数字で裏付けられますか?
三原 数字で裏付けることができます。「フルタイム正社員が“フルタイム+残業”で働く」というスタイルを、「パートタイム」ないしは「パートタイムを組み合わせたワークシェアリング」にした場合の効果は数字で証明できます。労働時間も減りますし、業務の繁閑に緻密に合わせると、労働コストを20%削減できます。こういったシフトを組めるのも、相対的に主婦が仕事への強い責任感を持っているからだといえるでしょう。