―妻は夫をおだてて使って。今どき家事をしない社長なんてダメだよ―
日経BP社 長田公平社長インタビュー
僕は中学校から大学まで自由学園に通い、寮生活だったので、子どものころから家事は身近なものでした。中学に入学するとまずアイロン掛けを教えてもらいました。大人になってから「やらなきゃ」と思うと大変だったかもしれないですね。
約30年前、日経BPの社内報に「ケーキ作りをするパパ」として紹介されたこともある長田公平社長
妻は、二人の息子が小学生のころ、「私、働きたい」と仕事を始めました。共働き家族です。僕は新聞記者で帰りは遅かったですが、朝は早くなかったので、通勤前に洗濯をしたり、休日には掃除機をかけたりしていました。休日は息子達とカステラ作りなど料理も楽しんでいました。今でも休日に洗い物などをしています。
家族は「いいよ、ゆっくりしていて」と言ってくれますが、家族が家事をしている中で、自分だけ新聞を読んでいてもくつろげない。それだったら皆で家事を分担してさっさと終わらせ、コーヒーでも飲んだほうがいいと思っています。スーパーのチラシで特売情報などを見て買い物に行くこともありますが、妻からは「社長が特売品に飛び付いているなんて、(顔がばれたら)恥ずかしい」と言われてしまいます(笑)。
家事をするときは音楽を聴くことが多いですね。ただ座って聴いていても、アイロン掛けをしながら聴いていても同じだから。ラジオをつけて食器洗いをすることもあります。お気に入りの音楽はグレン・グールドがピアノで弾いているベートーベン『運命』など。あと、ほこり取りのシートを初めて使ったときは感動しましたね! 掃除機で取れないほこりなどがきれいに取れるんですから。
パパ家事のコツは「完璧にやろう!」と思わないで、リラックスして“いい加減”にやること。負担だと感じちゃダメですよね。奥さんも、夫に完璧を求めないで、「料理の味付けがいまいちだったら最後は私が調整するわ」くらいに思っていたほうがいいと思います。夫に細かい口出しをすると、やる気を失わせてしまいますし。それよりは、おだてて使う、褒め殺しにする、くらいがいいと思います。
僕は社長だから家事をやらなくていい、というような意識は全くありません。社長だからって家事をやらない人は、きっとダメな社長に違いない、そのくらいに思っています。
もはや“家事を手伝っている”レベルではなく、僕と同じ“主夫”レベル……。さすが共働きで子育てをしてきた社長、御見それしました! 全力でパパの家事をバックアップできるような特集にしますね!
次回からいよいよ実践編へ。まずはパパの意識改革からスタートです。頭の中を新入社員に戻して、1週間駆け抜けましょう。