参加者から出てきた発想を否定しない
今日は一人参加が多く、ほどよい緊張感の中でみな集中し、特にいい仕上がりだったのだそう。だが、このワークショップの目的は必ずしも「素晴らしいミュージカルを創ること」ではなく、あくまでも参加者一人一人に何かの「きっかけ」を与えることだという。
「それぞれのスタンスで参加してもらえばいいんです。うまく場に入っていけなくても、次はやろう、という気持ちが残ればいい。そこが学校の授業と違うところです」
参加者から出てきた発想を決して否定せず、肯定した後でプラスアルファの提言をする「YES, AND」もモットーだそうだ。「正解というものがない演劇だからこそ、それが可能なのです。他の人たちと一緒に創造してゆくことって面白い、と気付くことで、大きな変化を見せるお子さんもいます」。内気で全く話せなかった小学生が、始まって40分後に初めて声を発し、最後には「自分はこうしたい」と言えるようになった例もあるという。
わが家の5歳児はというと、2度目ということでかなり積極的に発言できるようになっていたが、今回は「空気を読む」ことを含めたコミュニケーション術や、皆で話し合いながらアイディアを発展させる楽しさ、どんなに複雑なこともシンプルなピースの集合体であることが体験・体感でき、大満足の様子。プロが使う素晴らしいサウンドに合わせてダンスができたのも嬉しかったようだ。次回の開催日は未定だそうだが、親子そろって待ち遠しい。
この日の講師役の劇団員、左から金村瞳さん、田島麻子さん、藤森裕美さん、宮田佳奈さん、福間美里さん
(取材・文/松島まり乃 写真/大橋宏明)