妻が2度流産し、何とかして悲しみを昇華させる方法を探った
左から大葉ナナコさん、豪田トモさん、池川明さん、鈴木おさむさん
鈴木おさむさん(以下、敬称略) 僕ら夫婦は交際期間も短く、勢いで結婚しちゃった。「愛情は後から付いてくる」。これが僕達の格言です(笑)。結婚した当初、妻(森三中・大島美幸さん)が22歳、僕が30歳。最初は子どものことなんて全然考えてなかったのですが、しばらくして「そろそろ子どもをつくろうか」となったのが、僕が35歳を過ぎたころでした。
で、11月ごろに「このあたりかな?」って思ったら、1回で妊娠したんですよ。子どもがデキるのってこんなにカンタンなのかとビックリしていたら、年が明けてから流産したことが分かったんですね。そのときに色々調べて、流産の確率って結構高いということを初めて知りました。
そのころに出産を経験した女性の友達から頂いたのが池川先生の本でした。妻はそれを読んで「子どもは空からお母さんを選んで来る」といった話を読んで慰められていましたが、夫がやたらと励ますのはよくないと思って、妻からは少し距離を取って接していました。
はたから見ていて「(妻が)ちょっとスピリチュアルな世界に入っちゃったんじゃないか」って最初は心配していたんですよ。でも読んでみたら、「なるほど、こういう考えがあるのか」って。監督が言うように、一つの考え方や捉え方で変われるものなんだと、自分も理解したんです。
それから2年後、再び、妊娠が分かりました。前回のこともあったのですごく不安がありました。自然妊娠での双子だったので、すごく喜んでいたのですが、また数週間後に流産してしまって……。
1回目の流産のときは妻自身がエッセーを前向きに書くことによって乗り越えたなあって思っていましたが、2回目のとき、妻は「世間には言いたくない」って言ったんです。つら過ぎて、もう何も言いたくない、と。そんなときに何か自分で悲しみを昇華させる方法はないのかと思っていたときに、たまたま仕事の関係で映画『うまれる』を知って見させていただいて、大変驚いた。それが私達夫婦と、この映画の出合いだったんです。