お弁当の時間はお母さんの自慢大会
『ママ、もっと自信をもって』第1部~子どもと本が教えてくれた~より抜粋
みどり保育園では、親にも園にも余分な負担がかからないよう、特別なことは最小限に抑えていました。その一方で、天谷先生がこだわったのは、健康と食事、特にお弁当です。
みどり保育園に給食はありません。子どもを預かっている時間は私たちにおまかせですが、お母さんも腕の見せどころが1つぐらいなくてはつまらないでしょう。食べる量や好みは一人ひとり違うし、どれぐらい食べるかは母親がいちばんよく知っているはず。
お弁当作りが苦手な人は、天谷先生から教わればいいのです。先生はお母さんたちに、「いつでも保育園を見にいらっしゃい」と声をかけていました。食の細い子には天谷先生が工夫したおかずを作って、「こうするとおいしいわよ」とアドバイスしていました。天谷先生のおかげで、息子が高校を卒業するまでお弁当を作り続けられたと感謝していたお母さんもいます。
午前中にたくさん遊んだ子どもたちは、お昼になるとそれぞれのお弁当を広げます。そしてお母さんの話で盛り上がります。お弁当から始まって、何でも自慢のタネになりました。
誰かが「うちのママは英語ができるよ」と言うと、みんなが感心して「すごーい」。別の子が「うちのママは背中にほくろがあるんだ」と言うと、やっぱりみんな「すごーい」。別の子が「うちのママはゴキブリをスリッパでたたいた」「すごーい」。何でも自慢なのです。
だからお母さんには「お弁当作り」を面倒がらないでほしい。子どもはお母さんの作ってくれたごはんが大好きなのですから。