子どもは遊びながら育つ
名作絵本約100作品を生み出した児童文学作家・中川李枝子さん
「みどり保育園」に採用が決まったとき、天谷保子先生が主任である私に課したのは、「子どもが全員、毎日喜んで登園する保育」でした。
「あなたが学院で2年間学んだことを100パーセント生かして、1人も欠席のない保育をしてほしい。保育以外何もしなくてもよい。あとは私と笠原さんがやりますから」
子どもが喜んで全員出席する保育。これが大変だったのです。
天谷先生は小柄ながらバイタリティあふれる女性で、『いやいやえん』に登場する、はるのはるこ先生のモデル。なつのなつこ先生は私です。
みどり保育園を作ったのは天谷先生ですが、園長を1年ほど花房さんにやっていただいたのは、みどり保育園の前身が、グラウンドに集まる子どものために地元婦人会有志が始めた青空保育だったいきさつがあったから。
民生委員の花房さんには、青空保育のころからいろいろお世話になったそうです。花房さん、そして場長の笠原夫妻の協力も得てできたのが、みどり保育園でした。もちろん天谷氏は最もよき理解者でした。
こうしてみどり保育園が青空から屋根のある園舎になったばかりのころは、設備も人手もささやかで、1年保育と2年保育のみ。保育時間も9時から14時まで。お母さんが働いている、いないに関係なく、来たい子どもが来ていました。
はじまりが青空保育ですから、子どもたちは自由気まま。早朝から駒沢グラウンドでひとしきり遊んで、「保育園に行ってみるか」「先生、来たかな」とぶらぶらやって来ます。