50%が3歳以降の連携施設を確保できていない!

 さて、全国小規模保育協議会のアンケート調査ではもう一つの課題が改めて浮き彫りになりました。

 それは、102事業者、148園のうち50%が「3歳以降の受け皿として連携施設が見つからない」と答えているように、小規模保育所を卒園した3歳以降に受け皿不足のため待機児童となる可能性があるという「3歳の壁」の問題です。

 日経DUALでも今年2月、3歳児が保育園に入れない「3歳の壁」が新制度開始以来、浮上している問題をお伝えしました。(「3歳児が行き場所を失う『3歳の壁』 保活最新事情」

 例えば、東京・渋谷区では3歳児の申し込みが定員の2倍以上あり、70人を超える待機児童が出ています。こうした待機児童の中には、区が設置し、民間事業者に運営を委託している認可外保育施設(待機児童のみ対象)に通える子どももいますが、それも3歳児クラス1年のみと決まっています。3歳になった途端、行き場を失ったら…。退職せざるを得ない親も出てくるかもしれません。

 「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんは、記事「3歳児が行き場所を失う『3歳の壁』 保活最新事情」のなかで、

 「これまでは、3歳になると一定数が幼稚園に入園したり、保育士の配置基準が1~2歳児の6人に対し、3歳児では保育士1人につき20人になったりするなど、認可保育園に入りやすくなるのが一般的だったのが、小規模保育・家庭的保育の対象は3歳未満児なので、3歳になった子ども達は4月には別の保育施設(認可保育園、認定こども園など)に移らなくてはならず、そうした施設の3歳児クラスに空きがないと、3歳で行き場を失う『3歳の壁』に遭遇することになる」と危惧しています。

 「国は、認可保育園や認定こども園などが『連携施設』として協定を結び、受け皿になるという構想を描いています。ところが実際には、新制度開始すぐには協定が成り立ちにくいことを想定し、猶予期間が設けられているのです。3歳になって、次の行き先を考えなければならない子どもがいるのに、小規模保育・家庭的保育には連携施設がないところが多くなっています」という普光院さんの指摘にあったことが、全国小規模保育協議会のアンケート調査で改めて裏付けされた形です。

小規模保育で3歳以降の受け入れも視野に

 全国小規模保育協議会では、「小規模認可保育所でも3歳児以降を受け入れられるように、例えば、3~5歳までの子どもを12人預かる小規模認可保育所を設置できるようにする等、制度改正を行うことを提案する」としています。

 もちろんこれには、保育士不足という、根本的な問題を解決する必要があります。厚生労働省によれば、資格を持ちながらも保育士として就業していないいわゆる「潜在保育士」の数は、2013年時点で約57万人に上ります

 前述した「東京都保育士実態調査報告書」では、やりがいは感じているのに、待遇の面から就業を諦めている保育士の数は相当数に上るとしています。

 今、保育の現場で起きていることに目を向け、これから先、どんな解決策があるのか考え、声を上げていくことが求められています。

(文/山田真弓)