名作絵本約100作品を生み出した児童文学作家・中川李枝子さん。「最新刊『ママ、もっと自信をもって』が、お父さんお母さん、保育士、先生たちのお役に立てたら」と語る。
困ったお母さんといえば、お迎えに来るなり、「今日はいい子だった?」「けんかしなかった?」と心配そうに聞く人。
子どもは母親に合わせます。母親がいつも「悪いことをしなかった?」と聞いていると、「悪いことをしたと言わなくては」と思うそうです。それよりも、どんなうれしいことがあったかを聞いたほうがいい。子どもはうれしいことを、いっぱい探すでしょう。
わが子自慢を保育士に大いにしてちょうだい
天谷先生と私はお母さんに「子どもの自慢をして」とお願いしました。わが子自慢を大いにしてちょうだいって。いいこと、うれしいことを聞くと、私たちもうれしくなります。
子どもと信頼関係を結ばないと、保育はうまくいきません。だから私は新しい子が入園すると、話しかけたり、抱いたり、なんとか仲よくなりたいとあの手この手を使います。
どうすれば仲よくなれるか。秘訣は、その子がいちばん好きな人を私も好きになること。「お母さん、やさしいわね」「ママのお弁当はおいしそう」とお母さんを褒めちぎると、子どもはニコニコしてお互いの距離が縮まります。励ますときには「お母さんが喜ぶわよ」と言うのがいちばん効き目がありました。