今、日本の企業が求める人材の条件に「留学経験」が入ってきた
海外留学協議会(JAOS)専務理事・林隆樹さん
「留学経験者は多少英語ができても、協調性がなく、日本の企業には合わない」。そう言った噂を耳にしたことはありませんか? でもこれはひと昔前の話と、厚生労働省からの委託でワーキングホリデー参加者などへの就活力アップのための事業も行っている海外留学協議会(JAOS)専務理事・林隆樹さんは言います。
「確かに10年ほど前には、留学が就職に不利に働いたことがありました。『アメリカ大学卒は卒業資格ではない』などと言われ、日本の四大を卒業していることが就職採用試験には必須だったんですね。ところが、やはり2011年ごろからのグローバル人材育成の流れも受けて、日本企業もグローバル化を意識しだしました。最近ではTOEICが800点以上でないと相手にされないくらい『英語ができて当たり前』という時代になりました。そのために、留学経験も就職活動にほぼ必須になってきている。そんな時代が来たんです」(林さん)
とはいえ語学力だけでは足りないというのも事実。
「ただ大学で語学留学をしてきた、というだけではこれからの時代は足りません。理想的なのは、高校の間に1学年間の留学をして英語によるコミュニケーション能力をつけておき、海外の大学に進むにしろ、日本の大学から1学年間の交換留学をするにしろ、大学では語学留学ではなく専門的な内容を学ぶ留学をすることです」と林さん。
留学ソムリエの大川彰一さんも「もはやTOEICの高得点や海外在住歴は誰もが持っている資格のようなもの。大学では語学力向上以上に、将来性を見据えた留学をしなければコスパが悪い」と言います。では、実際にどのような選択肢があるのでしょうか?
「コスト面から言うと、大学時代に留学する方法として一番いいのは日本の大学の協定校に1年留学することでしょう」と大川さん。
「条件や費用の詳細はそれぞれの大学によりますが、多くの場合、協定校に留学すれば留学期間中の単位が取得できるので、日本の大学を留年する必要がありません。また、日本の大学の授業料を払っていれば、追加で授業料を請求されないケースも多く、寮があって滞在費も安く済むので、留学時にプラスαとして必要なのは渡航費と生活費だけ、という場合も少なくありません」(大川さん)
中でも大川さんが勧めるのは意外な地域への留学でした。
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