「ファンタジーの世界に思いっきり浸ってほしい」
おなじみのキャラクター達が歌いながら観客達の目の前をすいすいと飛び回り、たちまち物語の世界に引き込まれてしまうミュージカル『ピーターパン』。小さい子でも目をキラキラさせること間違いなしの『ピーターパン』は、特に未就学のお子さんにおすすめしたい演目です。
http://hpot.jp/stage/peterpan(写真は2015年の舞台より)">
『ピーターパン』7月24日~8月3日=東京国際フォーラム ホールC、8月17日=梅田芸術劇場メインホール http://hpot.jp/stage/peterpan(写真は2015年の舞台より)
日本では1981年から上演されている本作に2013年から主演しているのが、唯月ふうかさん(19歳)。のびやかな歌声とみずみずしいオーラがピーターそのもの、と人気の彼女に、本作を通した“親子観劇のすてきさ”を語っていただきました。
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北海道出身。2012年のホリプロ・タレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞し、本作をはじめ『デスノート』『スウィーニー・トッド』等の舞台や映画『憐寸少女』などで活躍。その原動力は、小学生のころから歌手を夢見た自分を応援してくれたお母さんだという。「独学で歌を練習するときにはいつも付き合ってくれたし、つらいことがあれば話も聞いてくれた。母が支えてくれたからこそ、今の私があります」(撮影:松島まり乃)
私は幼いころから母とJ-POPのコンサートによく行っていました。でもお芝居には縁遠く、16歳で『ピーターパン』を演じることになって、初めてミュージカルを知ったのです。でもやってみると、ミュージカルって歌もお芝居もダンスもすべて含まれている。なんてすてきな世界なんだろう、と大好きになりました。
この作品はミュージカルの中でも特別で、フライングシーンがとても多いんです。初めは内臓が浮くような感覚に「どうしよう」と思いましたが、足の形を工夫してバランスを取るうち、楽しくなってきましたね。客席の真上を飛ぶシーンでは、子ども達が「うわっ」と言ったり、私がまく妖精の粉をつかもうとしたりする姿が見えて、かわいいです。お芝居の部分でも、私が呼びかけると一生懸命リアクションしてくれたり、隠れると「あっちだよ~」という声が聞こえたり。
子ども達に「私もピーターパンになりたい!」と思ってもらえるよう、変声前の小学5年生くらいの男の子を参考にしながら、“かっこいいピーターパン”を目指しています。
でも、この作品は楽しいだけでなく、親に捨てられたつらい過去を持つ子ども達が登場したり、最後に“大人達”にとってはちょっと切なく、残酷な場面が登場したりもします。初め、私はその残酷さがぴんとこなかったのですが、昨年、台本を読んでいて実感し、複雑な気持ちになりました。一人の人間として、自分も大人になってきたんだなあとうれしくなったけれど、それは“永遠の少年”であるピーターパンからは遠ざかっていくということですから。子どもの気持ちも大人の気持ちも分かる19歳の今年は、10代のエネルギーをすべて注ぎ切るつもりです。
客席のお子さん達には、ネバーランドに来た気分で思いっきり楽しんでほしいし、大人の方達には昔を思い出したり、「子どもっていいな」と思っていただけたら。そして見終わって、親子で家族の絆を改めて感じてもらえたら、とてもうれしいです。