育児をする社員の働きやすさを左右するのは「上司の理解&サポート」
“イクボス式”マネジメントセミナーで講師を務めた日経DUAL編集長・羽生祥子
「イクボス」とは、部下に対して育児と仕事の両立とキャリア構築を支援し、企業に貢献できるような働き方を提供するボス(上司・経営者)のことを指します。女性活躍推進が活発化する中、当の女性だけでなく、その上司である管理職の意識改革・行動改革も重要視されています。
日経DUAL編集部では、読者を対象とした「働き方革命アンケート」(2016年3~5月)を実施し、1475名の方から回答を頂きました(女性:1272名、男性:203名)。その調査によると、「子どもができてから、職場で働きにくい、気まずい、肩身が狭い思いをしたことがある」と回答した人は8割以上。一方、「そうは思わない」と回答した少数派の人にその理由を尋ねると、その半数以上が「上司の理解やサポートがあるから」と答えました。
そこで今回のセミナーでは、多くの企業で管理職研修に採用されている『崖っぷちで差がつく上司のイクボス式チーム戦略』(日経DUAL編集部発行)をテキストとし、理想的なイクボスのモデルを紹介。実践ワークにも取り組みました。
イクボス度・ダメボス度を判定。「使えるイクボスワード」例を紹介
最初に取り上げたのは、「イクボス度」「ダメボス度」を診断するチェックリスト。
――など、次世代リーダーに必要な資質を問うチェック項目を紹介しました。
また、「今すぐ使えるイクボスワード」の一例も紹介。女性部下が妊娠を報告したときに上司が掛ける言葉として、「こう言われてうれしかった」「こう言われて失望した」という体験談を取り上げました。
会議は短縮できる! 会議のムダを削るワークを実施
セミナーが始まるかなり前から参加者が詰めかけ、立ち見が出るほどの人気ぶりだった
上司としてまず着手したいのは、日常業務の効率化。中でも、ムダが生じがちな会議をスリム化できれば、チーム全体の労働時間短縮につながります。そこでセミナーでは、「会議のムダを削って生産性を上げる」をテーマに、実践ワークを実施しました。参加者の皆さんは、ワークシートに現在行われている会議名、その内容、参加人数、時間、実施ペースなどを書き込み、それぞれを削減する方法や削減後のフォローについて考えました。
ワークシートを開いた瞬間からどんどん書き込んでいく人の姿も多く見られ、日ごろからの課題意識の高さがうかがえました。その書き込んだ内容を見ると、「現在60分かけている会議を30分に短縮したい」と考える人が多かったようです。ある参加者からは、「週1回、メンバー全員が集まって1週間のスケジュールなどを確認しているが、脱線してダラダラしてしまいがちです。事前にメールをやり取りしてスケジュールをある程度伝達しておき、会議では要点だけを話すようにすれば60分を30分にできるのではと考えました」というアイデアが挙がりました。
羽生編集長からは「これをぜひチーム全員で行ってください。メンバーの皆さんは、口に出して言えないこともあると思います。本音を言えば会議の設定時間を変えてほしいのに、自分のライフスタイルを職場に持ち込んではいけないと思っている人もいるかもしれません。会議削減に限らず、業務のプロセスチェックを定期的に行うことが大切です」とメッセージを送りました。
さらに、自身の子育て経験・マネジメント現場経験のリアルな具体例をユーモアたっぷりに解説。「子育て社員の急な早退。残務の穴埋め指示をイクボスならどう差配するか? OK事例とNG事例」や、「意外に盲点なのが女性管理職。モーレツ社員として登りつめた女性管理職でも、社員のライフを応援できるイクボスになってもらわねば困る時代」など、歯に衣着せぬトークに会場はうなずき、時折爆笑するシーンもありました。
このほか、以下のようなワークシートが配布されました。
――セミナー後、「うちの会社でもぜひイクボスセミナーを実施してほしい」という企業の方々が多数いらっしゃいました。今回ご紹介したノウハウとワークシートは、日経DUAL編集部発行の『崖っぷちで差がつく上司のイクボス式チーム戦略』に掲載しています。また、編集部では今後もこうした様々なワークショップを各企業で展開していきます。羽生編集長があなたの企業におじゃまして「イクボス養成講座」や「子育て社員のモチベーションアップ術」をお話しに行きますので、ぜひ組織の課題解決にお役立てください!
セミナー後、テキストとなった『崖っぷちで差がつく上司のイクボス式チーム戦略』を購入するために列を成す参加者の皆さん
(ライター/青木典子、撮影/鈴木愛子)