日本航空株式会社 人財本部人事部 ワークスタイル変革推進室 久芳珠子さん
キャリアを継続するための「"フェア"施策」としての在宅勤務
――田澤さん(以下、敬称略) 御社における「在宅勤務」への取り組みがスタートしたきっかけは何ですか?
2013年から、「仕事を免除する"ケア"施策」が中心だった女性の両立支援を、「いかにキャリアブランクを短くし、鍛えられる仕事を割り当て、実力をつけるかの"フェア"施策」へと、『質』の変革に取り組みました。その一環として、2014年から「在宅勤務制度」のトライアルを開始しました。
「両立支援の『質』の変革」から在宅勤務がスタート
―― 女性だから子育て中だからと特別扱いをして「休む」のではなく、キャリアを積み上げていける環境をつくっていく。話題になった「資生堂ショック」と同じ考え方ですね。
はい。当時取締役に就任したばかりの岩田喜美枝(元資生堂代表取締役)から、女性支援は「周回遅れ」と指摘を受け、大きく動き出しました。在宅勤務についても、女性だけが特別ではなく、男性も含め実施し、「生産性を高める」ことを大前提としています。
―― 「航空会社が在宅勤務制度」というと、「パイロットが在宅勤務?」と聞かれることがあるのですが、さすがに、自宅で操縦はできませんよね?
はい、もちろんです(笑)。弊社は社員32000人のうち、パイロットやキャビンアテンダント、エンジニアなど、お客様と接する機会が多い「直接スタッフ」が28000人、デスクワークが中心の「間接スタッフ」が4000人います。在宅勤務が可能なのは「間接スタッフ」です。
―― 「間接スタッフ」4000人は、全員在宅勤務が可能なシステムを導入しているのですか?
在宅勤務のための道具として、ノートパソコン、スマートフォン、VDI(仮想デスクトップ)を「3点セット」と呼んで運用しています。これまでは一部に限定的でしたが、年度内に3,000セットに拡大する予定です。