考えているようで、実は考えていない状態とは?
小川大介さん
何日かけて考えてもいいアイデアが見つからず、ありふれた企画書しか提出できなかったり、解決策が見つからなかったり……、考えてみたけれど、よいアイデアや答えを見いだせないという経験をしたことはありませんか? 私はよくあります。そして、後になって気づくのです。「あ~、私は考えていたようで、考えていなかったんだな」と。
例えば今、あなたが仕事と子育ての両立が大変で、転職しようかどうか迷っているとします。でも、今の仕事はとても面白く、やりがいもあります。転職したら、時間的な余裕を持てるようになる可能性もありますが、今のようなやりがいのある仕事ができるかどうかは分かりません。だからといって、このまま続けていては、子どもと一緒に過ごす時間が思うように取れず、いつも時間に追われてしまいます。だから、転職をしたいと考えている。
さて、この状態は「考えている」といえるでしょうか?
いいえ、ただ悩んでいるだけです。
「考える」とは、まず考える対象となる「課題」があり、「分析」→「解釈」→「検証」の段階を踏んで、その課題を解決していくプロセスのこと。目的を実現するために、頭を適切に働かせる活動といってもいいでしょう。
一方、「悩む」とは、解決していく先が見えないまま、ただ現状に困っている状態をいいます。冒頭の例でいえば、仕事と子育ての両立がうまくいかず、困っているという状態ですね。
なんとかしなければという思いはあるものの、「何を」「何のために」「どのように」解決していけばいいのか分からず、頭の中でただ自分が持つ情報やそれに付随して生まれてくる感情をぐるぐると巡らせているだけ。つまり、何の解決にも向かっていないということです。
次ページからはこの「思考」に必要な3つのステップを解説しますが、驚くことに、小学生達は国語の授業で6年間、この練習を続けているのです。