死亡に至る保育事故の7割は午睡中、全体の7割が認可外施設で起きている
―― 起こしに行ったら心肺停止していた原因は、何だったのでしょうか?
寺町 現時点では鑑定結果が出ていません。そもそも、死亡に至る保育事故の7割は午睡中、全体の7割が認可外施設で起きています。特に、うつぶせに寝かせられていることの問題を、私達は長年指摘してきました。
ところが、死亡原因が明らかにならない限り、事故原因は分からないとして、死亡に至った保育のプロセスを行政もきちんと検証してきませんでした。そのため、園はうつぶせ寝をやめず、同じような事故が起き続けてきました。
―― なぜ、今までは子どもの死亡事故の検証をしてこなかったのでしょう。
寺町 保育行政が、保育施設側の責任問題をおもんぱかっているためでしょう。検証の結果、園の運営に問題があることが明らかになった場合、賠償問題に発展することを危惧して、類似の死亡事故が繰り返し起こっているのに放置してきたのです。
内閣府などの有識者委員会で、昨年末に保育事故の検証制度が提案され、制度化されました。民間企業で問題が起これば原因仮説を検証しながら事業を展開していくと思います。同様に保育園でも事故直後に事実を確認し、保育プロセスの問題点を明らかにしていく作業が大事なのです。法的責任と切り離して、保育行政の観点から検証し、改善策をフィードバックするのが検証制度の目的です。
このような観点から、検証の仕組みを実効あるものにするため、補償を公的保険から出す仕組みが必要です。Aさんと一緒に「赤ちゃんの急死を考える会」として、独立行政法人・日本スポーツ振興センターが学校や幼稚園・認可保育所向けに提供している、過失の有無を問わない保険の適用を、認可外保育所にも広げることを要望しています。