知識ではないリアルな「体験」を積み重ねるのがボーイスカウト
昔、学校のクラスに一人はいた「ボーイスカウトをやっている」という同級生。自分が親の立場になった今、子どもの習い事としてボーイスカウトを考えたことのある人もいるのではないでしょうか。しかし、入団するにはどんな手続きをすればいいのか、そもそもどんなことをどんな頻度で活動しているのかわからないという方は多いようです。ボーイスカウトとはどんな団体なのか? まずは公益財団法人ボーイスカウト日本連盟の石井琢磨さんにお話をうかがいました。
ボーイスカウトの活動の様子。国内の活動だけでなく、世界のボーイスカウト団体と交流の機会も多い(©ボーイスカウト日本連盟)
「ボーイスカウトの目的は、端的に言うと小グループでの活動を通じてリーダーシップや協調性、たくましさなどを育てていくことです。キャンプなどの野外活動はその最善の場です。野外活動が中心なのは、自然の中だと感覚が研ぎ澄まされ、多くを学ぶことができるから。たとえば、太陽のことを『お日さま』と言いますよね。僕も昔からボーイスカウトをやっているのですが、以前雨の中で山登りをしたことがありました。冷たい雨に打たれて登山をしている時に、一瞬だけ晴れ間が見えたことがあった。その日射しが本当に温かくて、昔の人が『さま』をつけたくなるくらいありがたく思う気持ちがわかりました。最近はネットで様々な知識を得ることができますが、ボーイスカウトは知識以上のリアルな体験を積み重ねていくことが目的なんです」
また、単なる野外活動ではなく、子どもの自主性にも重きを置いています。
「ボーイスカウトでは何をする時も一人ひとりに役割が与えられ、子ども達は自主的にそれを行って学ぶことになります。スポーツのようにレギュラーや勝ち負けがないので、ある意味全員が主役。その中で責任感や協調性も育まれていきますね」
「ボーイスカウトの教育方針に、『いつも他の人々を助ける』ということがあります。これは日々の活動の中でも子ども達に意識してもらうことですし、街中で見かける募金もその一環。大学生のグループになると、震災の被災地まで自主的にボランティアへ行くグループも多いです」
2015年に山口県で行われた「世界スカウトジャンボリー」。4年に一度行われる世界最大級のキャンプ大会で、この年は世界155の国と地域から3万4千人が集まり、2週間もの間キャンプを行った(©ボーイスカウト日本連盟)