生徒の誕生日を基準にクラス分け
6月下旬のある月曜日。時計の針が11時20分を指すと、それまで廊下でおしゃべりや遊びに夢中になっていた生徒達が、一斉に自ら席につき、慣れた手つきで筆箱を机に置いて行く。
「では、始めます。みんなが『朝起きてからやること』って、どんなことがあるかな。考えてみよう」。先生の一言で、1年あやめ組の4時間目の授業が始まった。
東京都町田市にある私立玉川学園小学部。小学校1年生から4年生までが過ごす低学年校舎では、授業の開始を知らせるチャイムは鳴らない。子ども達が合図によって動くのではなく、時計を見ながら自主的に行動する力を育てる。それが玉川学園小学部のモットーだ。チャイムだけではなく職員室も存在しない。教職員は各教室の一角にあるオープンなスペースで、学習の準備や昼食、遊びの時間といった1日のすべての時間を生徒達と共に過ごしている。
飴色の木の廊下や、大きく開口された窓から覗く青々としたヒマラヤ杉。テラスにはベンチやテーブルが置かれ、お弁当を食べることもできるという。教育は「6・3・3」ではなく「4・4・4」制を採っており、小学校5年生からは中学部の校舎で学ぶ。校舎はわずか4学年分の生徒のために用意されたとは思えないほど広々としており、すぐそばには低学年専用のグラウンドもある。まるで高原のリゾート地のような環境だ。
小田急線「玉川学園前駅」の駅前に広がる広大なキャンパスは幼稚部から大学までを擁し、合わせて約1万人の生徒・学生が学んでいる
玉川学園小学部において最も特徴的なのは、全国でも珍しい月例順のクラス編成だろう。小学校1年生時のみ、生徒を誕生日順に並べておおむね半分にし、クラスを分けている。昨年までは3カ月ごとに分けていたが、今年度からバイリンガルクラスを導入したため、バイリンガルの年長、年少、一般クラスの年長、年少の4クラスとなったそうだ。今回は、一般の2クラスの授業風景を取材させてもらった。