「保育園に預けたはいいけれど……」、心配する親達の声
労働経済ジャーナリストの小林美希さん
小林さん(以下、敬称略) 私は保育士の労働問題という視点で、約10年前から保育園の問題を追ってきました。特に「保育の質」に注目し始めたのはここ数年です。
2013年に『ルポ 産ませない社会』(河出書房新社)を出したとき、妊娠解雇などで社会や地域とつながりを持つことができず、孤立する母親達の姿を目の当たりにしました。
ちょうどその年の3月、保育園の選定から外れた杉並区の母親達が路上に出て区役所を囲み、抗議デモをする“保育園一揆”あるいは“杉並母親の乱”と呼ばれた運動が起こり、ここから待機児童問題が世間的にも脚光を浴び始めたのです。
でも私が気になったのは、その先がどうなっているか。
職場のマタハラ問題や待機児童問題をかいくぐって保育園に預けたはいいけれど、「うちの子の園は大丈夫なのか」「『保育の質』はどうなんだろう」という疑問の声が母親達から聞こえてきたのです。そこから「保育園の内側を深掘りしていかなくては」と思うようになりました。