子どもに最高の子ども部屋は使われない部屋?
さんさんと光が入る明るい南向きのゆったりした子ども部屋。勉強しやすい片付いた勉強机と整頓された本棚。そんな部屋で、毎日しっかりと静かに集中して勉強できる子こそが、難関受験にも合格するような賢い子じゃないのかというイメージをお持ちの人も多いだろう。
渡邊朗子 建築家・東京電機大学未来科学部建築学科准教授。1993年コロンビア大学大学院建築都市計画学科修了。99年日本女子大学大学院人間生活学研究科博士課程修了。住居やオフィス学習空間を対象に建築から家具・情報システムまでの実施設計に携わる。共著に『頭のよい子が育つ家』(文春文庫)など
「子どもが生まれてから引っ越したり家を建てたりするご家庭では、よく南向きの一番いい場所に子ども部屋をつくり、『子どもに最適の環境を』と準備される方も多いでしょう。しかし、難関中学に合格した子達の家や勉強環境をみてみると、そういう部屋でコツコツ勉強するというのとは逆の環境にある子が多かったんです」と話すのは、難関中学に合格した子ども達の家の調査を基に書かれた「頭のよい子が育つ家」の著者である東京電機大学の渡邊朗子准教授。
「自分で勉強をするようになりつつも、完全に独立しきれない年齢の小学校高学年。高校、大学受験に比べると、受験にもまだ親の協力や志向が大きく影響する時期です。さらに、学校側から出題される問題も、暗記的な記号問題ではなく、内容からその子の知識を探るような考える問題も増しています。大きくなってから今のような安定した仕事はないといわれている世代だからこそ、そんな中学受験に取り組む環境は結果にも大きく影響していると考えました」
渡邊さんは、その年代の子ども達の学習環境の関係を説明してくれた。
渡邊さん達が難関中学に合格した子ども達の家に実際に行き、本人や家族に学習環境の話を聞いたり見学したりした結果、多くの子が片付いた子ども部屋ではなく、比較的雑然とした環境を好んで勉強していたことが分かったのだ。