勉強は月齢とあまり関係がない
日経DUAL編集部 玉川学園小学部の保護者へのアンケートで「月齢順のクラス分けが入学の動機になったか」という質問をしたところ、「大きな動機になった」という回答はさほど多く見られませんでした。編集部としてはもっと大きな数字になるかと考えていたのですが。
「入試も筆記試験ではなく、月齢に配慮した面接形式で行っています」と話す後藤健・教育部長
後藤健 教育部長(以下、後藤) 月齢順クラスについての問い合わせは、実はそこまで多くはありません。早生まれのお子さんを持つ親御さんからは月齢順と知って安心しましたという声は聞かれますが、どちらかというと受験時の相談のほうが多いかもしれません。
―― 1年間月齢順のクラスで過ごした結果は、「劣等感を持つことなく過ごすことができた」「同じペースの子同士で過ごすので、学習の進み具合が合っていた」という感想を持つ親御さんもいらっしゃいました。玉川学園小学部が月齢を考慮したクラス分けを導入したのはいつからでしょうか?
後藤 約60年ほど前からです。小学校に入学し、がらりと環境が変わる最初の段階で、おのおのの成長に合わせたきめ細やかな指導をしていきたいという思いから始まりました。
―― 環境が変わるというのは、勉強が始まるからということでしょうか。
野瀬佳浩 小学部教務主任(以下、野瀬) 勉強は月齢とあまり関係がありません。生活の中で集団行動を取らなければならないということが、幼稚園や保育園との大きな違いです。周りのペースに合わせられず遅れをとる子は間違いなく出てきますし、遅れてしまう子の割合はやはり早生まれの場合が多いです。
後藤 例えば、お昼休みにずっとお弁当を食べている、食べ終わらなくて遊びに行けないというような子は、圧倒的に年少クラスの子ですね。4月ごろは、放課後に疲れて教室で眠ってしまうような子も見かけました。
野瀬 本を読むペースにも違いを感じます。目で文字を追うスピードが月齢によって異なるので、4月生まれの子が教科書をスラスラ読めていても、早生まれの子が読むとつっかえてしまうというシーンをよく見ます。それはただ読み慣れていないだけではなく、目を的確に送れないという動体視力の発達の問題があります。