DUAL読者の中には、小学校中・高学年あたりから視力が下がり、眼がねデビューをしたという人も少なくないのではないでしょうか。
文部科学省が発表した平成27年度学校保健統計によると、裸眼視力が1.0未満の小学生は30.97%を占め、調査を始めた昭和54年度の17.91%から増え続け、過去最高を更新しました。カラーテレビの普及をはじめ、PCやタブレット、スマホ視聴の影響などが原因として指摘されています。
※「平成27年度学校保健統計」(文部科学省)をもとに日経DUAL編集部が作成
しかも、「近視になる年齢は年々低下しています」と話すのは、国立成育医療研究センター・眼科の仁科幸子先生。気になる子どもの近視について聞きました。
両親ともに近視の遺伝因子を持つと、子どもに受け継ぐ可能性は5割!
近視には「遺伝因子」と「環境因子」の両方が関与しています。
子どもが近視になるリスクは、両親ともに近視ではない子どもに比べて、片親のみが近視だと2倍以上、両親ともに近視だと5倍以上に上がるという研究報告があります。
遺伝因子としては、眼軸の伸びやすさ(次の項目で解説)があります。環境因子としては、近くのものを長時間凝視する、暗いところでものを見る、動くものを見るといった機会が多いと、近視が進む可能性があります。
親の近視は子どもに遺伝。両親ともに近視だと、両親ともに近視ではない子に比べて、5倍以上近視になるリスクが上がるという研究結果も。(C)PIXTA
アジア人は近視になりやすい? 8歳から16歳くらいに近視は進行
目に入ってきた光は、目の一番奥にある網膜に焦点が合うことで、見える仕組みになっています。近いところを見るときは水晶体が厚く、遠いところを見るときは水晶体が薄くなる調節機能によって、近くを見るときも遠くを見るときも、網膜にピントを結ぶことができます。
眼球の奥行きを「眼軸長」といいます。眼軸長は2歳までに急速に伸び、その後8歳くらいまでに徐々に伸びていきますが、その分、水晶体の屈折力を減らす(=焦点の距離が伸びる)ことで網膜に焦点が合うようにバランスをとっています。
しかし、水晶体の変化は8歳までで、それ以降は水晶体の屈折力は変わりません。8歳以降に眼軸長が伸びると、網膜の手前でピントが合うことになり、ぼやけて見えます。これが近視です。
8歳から16歳くらいの間が、近視が進みやすい時期です。
眼軸が伸びる要因としては、遺伝的な要因と、環境的な要因が考えられていますが、一般的にアジア人は眼軸が伸びやすいといわれています。伸びた眼軸は元に戻ることはないので、一度進んでしまった近視は治りません。