HASUNAは私にとって第一子のようなもの
日経DUAL編集部 家族全員が働いているという環境で育ち、大人になったら働くものと思っていたそうですが、出産や育児をする中で仕事との両立は難しいと感じたことはありますか。
白木夏子さん(以下、敬称略) うーん……仕事をしなくなるという選択肢は、私の中には全くなかったですね。
ただ、子どもが生まれるまでは、すごく不安でした。子どもが生まれて生活環境がどう変わるのか想像がつかなかったので、万が一、子どもが理由で仕事ができなくなってしまったら、私はどんな気持ちになるんだろうか、諦めきれるんだろうかと不安でした。
母は、東京でアパレル会社のデザイナーとして働いていましたが、父と結婚をするときには自分の夢を諦めるかたちで夫の実家の家業を手伝う道を取りました。母は「そういう道を選んだ私は、幸せだった」と言います。でも私自身は母のように、自分のやりたいことを犠牲にすることができるんだろうかと、子どもを産む前はすごく疑問に思っていました。
私にとってはHASUNA自体が第一子みたいなもので、自分自身の子どもが生まれてからも、この子のためにHASUNAを辞められるかと聞かれたら、それはできないなと思いました。そういう点では、私と母は違うと思います。子育て真っ最中の今も、子どもか仕事かの二者択一で考えたことはありません。今はまだ子どもが小さいこともあり、子どもは自分の一部という感じで、今できることを探りながら進んでいます。
「子どもか仕事かの二者択一で考えたことはありません。子どもが小さいこともあり、今は子どもは自分の一部という感じで、できることを探りながら進んでいます」(白木さん)
子どもと一緒の時間には仕事はしないようにしている
―― 子育てしている中でお母さんをお手本にしているところは?
白木 私は、子どもだからといって、子ども用のおもちゃを与えられていたわけではなく、母が使っている布の余りを使って大人用のミシンで人形の洋服を作ったりして遊んでいました。今、私も娘には、子どもだからといって子ども用のものを用意するのではなく、絵を描くときも、キャラクターのぬりえを買う代わりに、私が自由に描いた絵に色を塗ってもらったり、大人の使っている画材を一緒に使ったりしています。
祖父の勧めもあって、両親は私をクラシックコンサートや美術展によく連れて行ってくれました。気がつくと、私も娘を連れてよく美術館に行っていますね。