ポジティブ・ディシプリンを学ぼうと思った動機は、三者三様
川上すみれさん(仮名)
日経DUAL編集部 皆さんが連続プログラムに参加して、ポジティブ・ディシプリンを学ぶことにした理由を聞かせてください。
鈴木 子育ての手法や考え方に興味があったんです。それまでも保育園の子育て講座に参加したり、コーチングに関する本を読んだりはしていて。子どもが学校から持ち帰ったチラシを見て、仕事との兼ね合いもあって結構迷いましたが、思いきって参加してみることにしました。
加賀 今回私は正直、あまりプログラム参加に対して前向きではなかったんです。私がお誘いした方がやむをえない事情で参加できなくなってしまって、最後の席に入れていただきました。
川上 私は少し前からポジティブ・ディシプリンを知っていたのですが、今回改めて深く学びたいと思いました。というのも、長男が典型的な“男子”で……。息子がまだ小さいころ、地元の保健師さんに「息子さんのことを褒めることがありますか?」と聞かれたことがあったのですが、「『ごはんを全部食べてすごいね』……ぐらいでしょうか」というありさま。そのとき「息子さんは8割褒めて、叱るのは2割にとどめて」と助言されましたが、そんなの無理ですよね。今も当時の状況と大して変わりません。
「伝えたいことがあれば何度も言い続けることで、親の思いは伝わる」という子育て本も読んだのですが、「もう同じことを何百回言っているんですけど!」という感じで。「うちの子に何か問題でもあるんじゃないか?」「この本の著者には子どもに関する悩みがないのでは?」なんていう思いすら募ってきて。
小学校の家庭教育推進員になったのをきっかけにポジティブ・ディシプリンを知って、自分で他の保護者に説明しなければいけない段になって「なるほどね」と腑に落ちました。「自分の子どもに向き合えばいい」というメッセージにとても共感できたんです。
今の親は「叩かれて育ってきた世代」!?
―― 今まで目にした子育てノウハウとは違っていたのですね。
川上 これまで目にしてきたものは「子どもとはこういうものだ」と、決め付けるような見方をするものが多かったように感じます。でもポジティブ・ディシプリンは、子どもの発達段階に合わせて、その子を受け入れた上で子どもとの関係を考える。押し付けではない感じがして、私には入りやすかったんです。特に私の場合、学校がきっかけでしたから、ポジティブ・ディシプリンを共に学ぶ親同士で、深いつながりを持てたのもうれしかったですね。
でも、体罰とポジティブ・ディシプリンが、自分の中で最初はうまく結びついていなかった。子どもの生命に関わる場面では、「どうしても叩かなくてはいけないこと」があると思っていて。「叩いてでも引き戻さないと」という緊急時、という意味です。でも、「そうじゃないときに、叩くってどうなんだろう?」って思うようになりました。
だって世代的に叩かれながら育ってきた世代ですからね、私達。
―― というと?