じっくり読んで考え込んでからの「こうするともっとよくなるのじゃないかしら」という石井さんの指摘は、すべて納得がいく。頭ごなしにダメとおっしゃることはありません。ちょっと直すとすっきりするのがわかる。泣くなんてとんでもない。私は心を弾ませて通っていました。

図書館にある本を全部読んで自分でつかみとること。いくら作品に詳しくても、楽しんでいなくては無能である

 私にとって石井さんは絶対でした。なにしろ、私は彼女の手がけた本で育ったのですから。岩波少年文庫をはじめ、石井桃子の本は必ず面白かったのです。

 石井さんは常々「子どもの本の書き方は教わってわかるものではない。図書館にある本を全部読んで、そこから自分でつかみとるしかありません」とおっしゃっていました。また、作家でも編集者でも図書館員でも、子どもの本に関わる人に対しては、「その人が本を楽しみながら読んでいるか」を何より重視していました。

「いくら作家や作品に詳しくても、楽しんでいなくては無能である」

 彼女のその一言は、今も私にしみ込んでいます。

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 Q. 保育園と幼稚園、どちらがいいのでしょうか?
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